祈り (ページ44)

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病室に戻ってからずっと考えた。

もしあの時そのまま慎太郎のところまで行っていたらどうなっていたのだろうか。
ちゃんと俺に気づいてくれていたのだろうか。
まぁ、気づいてもこんなことをした俺は用無しか。

「あれっ...何でっ...？」

気づけば涙がこぼれ落ちていた。

何で俺泣いてんの？
何で話しかけなかったことに後悔してんの？

「もう無理なのかなっ...」

とっくに心は限界だったのかもしれない。
５人に助けてほしかったのかもしれない。

それでも一人で頑張ると決めたのは自分自身。
ここで負けたくはなかった。
そうやって俺の勝手なプライドが邪魔していた。

「どうしようっ...」

助けてほしいけど助けてほしくない。
こんな気持ちのことを二律背反って言うんだよな。
前に北斗がラジオで言っていた気がする。

俺、意外とメンバーの小さなことでも覚えてんだよね。
あの時髙地がこんなことしてたな、ジェシーがあんなこと言ってた、きょもがこんな歌歌ってたな、慎太郎がこれ教えてくれたなとか。

やっぱ大好きだから、あいつらのこと。
ちょっと思い返しただけで沢山のことがフラッシュバックするように思い出される。

「分かんないよっ...ジェシーっ...」

こうやってウジウジ悩んでいる自分が嫌いだ。
こうやってすぐジェシーに頼る自分も嫌いだ。
こうやって一人じゃ何にも出来ない自分が嫌いだ。

妊娠してからどんどん自分が嫌いになっていく。
でもそれと反比例にどんどんこの子への愛は強まっていく。

どうしたらこの子が幸せになれるのか。
今はそれだけが大事なのかもしれない。

でもそれが分からない。
この子との将来が正直言って見えなくなっていた。

「ママ？どうしました？」

すると病室の外から先生の声がした。
恐らく俺の声が病室の外まで聞こたのだろう。

「先生っ...」

今の俺が頼れる唯一のヒーローは先生だ。