祈り (ページ41)

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「出産の方、どうなされます？」

「どうされますって？出産するよ？」

「違いますよ！前に説明しましたよね？自然分娩か帝王切開か。」

「あぁ、そういうことか。俺、自然。」

「でも説明した通り...」

「大丈夫だって！」

以前に出産について色々教えてもらった中で、俺の体は自然分娩ではかなりリスクが高いと言われていた。

「どれもリスクがない出産なんてないんでしょ？自然分娩は他よりちょっと高いってだけだよ。」

それにお腹に傷跡を残したくなかった。
もしかしたら、って期待している自分がいたから。
これは俺だけの秘密。

「ママになるには痛みも経験しとかないと。ね？」

「分かりました。全力で我々もサポートします。ですが、どうなるか分からないので正直怖いというのが本音です。」

こんなこと医者が言うことじゃないですけど、と先生は複雑な顔でまたパソコンに顔を向けた。

「先生ごめんね？でも俺ちゃんと頑張るから。だから、よろしくお願いします。」

俺は頭を下げた。
一緒にこの子を守ってくれるのは先生だから、俺の本気さを改めて伝えたかった。

「もちろんです。元気な赤ちゃん産みましょうね。」

「ありがとう、先生。」

「念の為、９ヶ月に入る時点で管理入院をしていただこうと思ってます。」

「入院？俺、どっか悪い？」

「いえ、どこか悪いから入院という訳ではなくて無理をしないよう安全に赤ちゃんを産んでいただくためです。」

「俺、入院ってしたことないかも！何かワクワクするね！」

「遊びじゃないですからね。それだけリラックスしてくれてるのいい事ですが。」

「だってずっと病院にいる方が俺的にも安心だもん。」

ある程度慣れてきたこの生活も、ふとした時に誰かにバレるんじゃないかと怖くなる。
だから家のカーテンも締め切ってるし、必要最低限の外出もしていない。
あんまり体に良くないと分かっていてもそうするしかなかった。

「それではまた準備してきてくださいね。」

「おっけー。」

何か本当に後ちょっとなんだと改めて大きなお腹を見ながら実感した。