祈り (ページ21)

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yg side

撮影の後、大我にポンポンと肩を叩かれた。

「ん？」

「この後時間ある？」

「あるっちゃあるけど。」

「ちょっと話あんだけど。」

樹と別れ、大我と近くの喫茶店に入った。

「ねぇ、ケーキ食べていい？」

「勝手に食えよ。」

俺はアイスティー、大我はショートケーキとホットコーヒーのセット。
待っている間は特に会話もなく、かと言って注文したものが来ても特に会話は無い。
それが落ち着くのが俺らの関係。

てか、目の前の人が本題忘れてんじゃないのかって言うぐらいショートケーキに夢中だし。

口いっぱいにして、本当に子供みてぇだな。

「ねぇ、高地。」

ショートケーキを綺麗に完食し、コーヒーに手を付け始めた大我がやっと話しかけてきた。

「あのさ、樹のことなんだけど。」

「うん。」

「高地も気づいてるでしょ。明らかにおかしいって。」

逆に気づかない方がおかしいでしょ、あんなの。

「本当に病院連れて行かなきゃだよなぁ。」

「樹、これじゃないかなって思ってんだよ。」

そう言って大我が見せてきたスマホの画面には拒食症の文字。

「拒食症…」

知っている名前ではあるけど、俺らには無縁だと勝手に思っていた。

「今日は頭痛かったからじゃないの？」

「そうだといいけど…最近樹が何か食べてるの見た？」

「見てない…」

事実として最近の樹は体調不良が多くてあれから更に痩せてしまっていた。

「倒れてからじゃ遅いよ。」

「そうだな。…言わなきゃな。」

こういうことをちゃんと俺から言えたら、もうちょっとリーダーっぽくなれるのかもしれない。

「お前さ、今余計なこと考えた？」

「え？」

「リーダーだから、とか気にしたら許さないから。俺は高地だから、このこと言ったの。しかもリーダーとかあんま関係ないし。」

「まぁ…」

「そんなに気にすんなら、ここ奢れ。」

「はぁ！？」

「リーダーなんだろ？」

「お前、悪いなぁ。」

でもこういう自然に俺を肯定してくれる大我に俺はすごく救われている。

「今度はお前の奢りだからな。」

「やーだよ。」

結局それから晩ご飯も一緒に食べることになり、そこも奢らされたのはまた別のお話。