祈り (ページ17)

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ある朝、胃がひっくり返るような吐き気で目が覚めた。
汚す訳にはいかまいと、必死に両手で口を抑え逆流してくるものを抑えながらトイレに駆け込んだ。

「っうっ…ゲホゲホっ…ぉえっ…」

俺にはこの吐き気の原因がすぐ検討ついた。
胃腸炎でも食あたりでもない。

「赤ちゃん…来ちゃった…」

ジェシーと過ごした夜以来、厄介者は俺のところに来なかった。
すぐに行くべきだった病院も現実を受け止めたくなくて行けなかった。

でもこうなった以上は受け止める以外選択肢はない。

俺は急いで例のアパートまで車を走らせ変装を済ますと、24時間営業のドラックストアを見つけ人生で初めて妊娠検査薬を手に取った。

「ふぅ…」

そのままアパートに戻り検査をしたが中々結果を見ることが出来なかった。

結果なんて分かりきってるのに。

トイレに篭って15分ぐらい経っただろうか。
さすがにトイレならではのなんとも言えない湿気でジメッとした感じにまた気持ち悪くなってきた。

「よし…」

たった一瞬結果を見るだけ。
恐る恐る検査薬を見ると、小窓にくっきりと線が入っていた。

「えっ…どうしようっ…」

普通なら飛び上がる程嬉しくてすぐ彼氏に見せに行くものだろう。
ちょっとサプライズなんかしちゃってさ。
でも俺にはこの状況を共有できる人なんていないし、嬉しいという感情がなかった。

やってしまった。

ただそれだけ。

とりあえず俺一人じゃ何も解決出来ない。
急いで病院に向かったがまだ辺りはやっと朝日が登りきったぐらい。
夜間救急の時間だ。
先生が担当であることを受付に話しているとタイミングよく先生が来てくれた。

「あれ？どうしました？」

「先生っ…出来ちゃったっ…赤ちゃんっ…」

先生はこの一言を聞くと血相を変え、急いで診察してくれることになった。