愛したかったカノジョ gr.Ver（ﾘｸ） ページ37
死ネタ
この俺が生涯愛したのは後にも先にも彼女だけだった。
彼女は、長らく務めているメイドで、主に俺の世話役だった。
「総統様、ネクタイが曲がっておられますわ」
ふふっと笑う彼女は他の女と違って媚びてこない、あの鬱陶しい黄色い声も上げないし同い年で、長く一緒にいるからか気が楽ではあった。
女性に興味のなかった俺は初めて生涯を共にしたいと思える相手に出会ったという訳だ。
「俺はあの女気に入らんけどな。」
「トン氏が心配するようなことはなにもないだろ」
なのに…
ﾌﾞｯ、ﾌﾞﾂ…ﾌﾞﾂ
インカムに音が入る。よく聞こえない、耳をずませてみると
「敵、のスパイ……ﾌﾞﾂ、グルさんﾌﾞﾂ…逃げ」
ノイズ混じりのロボロの声
「グルさん！早く！ここからで…！たぁ…」
目の前で殴り倒されたトン氏、誰がスパイ……
「は…なぜお前が」
そこには冷たい顔をした彼女の姿。
「あなたには気づいて欲しくなかった。」
「なんの真似だ。お前がスパイということか」
「ごめんね、このために10年ここにいたの。」
「なぜ、なぜお前なのだ」
「さぁね。」
彼女は地下牢へと投獄された。
他の奴らは殴られただけだったのですぐ目を覚ました。
地下牢に足を運べば、彼女は鎖に繋がれていた。
「なぜ、あんな愚行に」
「なんの事？」
「バレた時点で幹部一人一人を気絶させず、逃げれば、逃れたのでは？」
「何も情報を取れてなかったしね。途中でロボロに見つかって……あのまま帰ってもどうせ殺されるだろうから、死ぬ場所くらい決めようと思って。」
「死ぬ場所…」
「私の処刑はいつ？誰がしてくれるの？」
「誰にしてもらいたい？」
「あなたがいいな。グルッペン…今すぐにでも」
彼女が牢の外にナイフを蹴り出した。
「なぜこんなものを？」
「何故だろうね。」
「これで死にたいのか？」
「ええ、｣
ナイフを拾い、牢の鍵を開けて中に入る。すると彼女は突然立ち上がり、身構える俺に抱きついた。
「できることならあなたと共に生きたかった。」
「なら、なぜそうしなかった」
「私にはそうする権利も力もない」
「…」
「でも、これでやっと自由。
ねぇ、私の名前、A。私の国では駒って意味なの」
「そんな名前捨ててしまえ、俺から新しい名前をやろう。━━━。」
「素敵な名前をありがとう」
俺はその言葉を聞くと背中にナイフを突き刺した。彼女の綺麗な顔が汚れないように、
愛しの人ここに眠る
『Liebling Hulda』
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ケントゥム - 憑き物って「トワイライトプランク」ですよね！！気付いたときめっちゃくちゃ嬉しかったです！！ (2022年7月22日 10時) (
レス) id: 3dc9f6a52b (このIDを非表示/違反報告)
卍エシラ(プロフ) - 紅覇さん» ありがとうございます！ (2020年5月2日 21時) (レス) id: 62414ec622 (このIDを非表示/違反報告)
紅覇 - 悲しすぎて胸の奥がキューってなりました。これからも頑張ってください！！ (2020年5月2日 14時) (レス) id: 6f781d8dfc (このIDを非表示/違反報告)
卍エシラ(プロフ) - 雪鈴さん» これが書きたくて仕方なかったので長くなってしまいました (2020年5月2日 13時) (レス) id: 62414ec622 (このIDを非表示/違反報告)
雪鈴(プロフ) - ……鬱先生、哀しすぎる…ついウルッと来てしまった…｡ (2020年5月2日 13時) (レス) id: 19448fa7ba (このIDを非表示/違反報告)
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