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時は経つのは早いもので、俺はもう17になっていた。
小中と本の虫だった俺は意外と笑われながらなかなかいい高校に入学できた。
たまたま近くにあったので、毎日自転車で坂を駆け下りて学校に行き、帰りは自転車で必死に上り、時折本屋に寄り道をしてを続けてつけた体力はサッカー部での活躍を導いた。
その日は寄り道の日で本屋に行った。小さな本屋でいつもは時間かからないのだが、今回は時間が少しかかりすぎて、薄暗くなってからかえった。
街灯もない山道を駆け上がり、やっと着いた家の玄関を開けた。
「ただいまー」
しん、としている。いつもなら奥の部屋の明かりが着いていて、ご飯の用意をAがしていて、そして必ずお帰りがある。
今日はそのどれもない。
何故か冷や汗が出た。買った本を投げ捨てて家中探した。
いたのは、家の階段の下だった。
病院に運ばれ、CTを取って結果を待った。
Aは数年前から徐々に視力が悪くなり、悪くなった視界で足を踏み外して転げ落ちた。
その時色々なところを打って、下半身は動かなくなり、視力が完全に無くなった。幸い発見が早く大事にはいたらなかったと、医者は言ったが。
大事じゃないことか、下半身を動けなくなって目も失って。全部俺が本屋に行かなければ防げたかもしれない。ってのに
気がついたAに俺は謝るしか出来なかった。
するとA困った顔をして
「いいよ。お前は悪くないのだから。」
俺は大人になっても家を出なかった。Aを置いて出る気に離れなかった。
目の見えないAはきっと、暗い部屋で母と父の帰りを待っていた時のように寂しいのだから。
「今日は外で読もか。天気もええし」
車椅子を押して大きな庭の小さな公園のベンチブランコに座った。広々としたあのブランコは今や少し窮屈だ。
小さい頃とは反対に俺がAに読み聞かせる。
Aはうんうんと嬉しそうに相槌をうっていた。が、時期にうつらうつらとしてきた。
まだ半分も読めていなかったが俺は栞を挟んで
「もう日が沈むし寝よか。あした、明日読もな。」
歳をとって細くなった手を取った。弱々しく握り返して来たA抱き上げて車椅子にも乗せずに直接寝室に運んだ。
次の日の朝、Aは眠ったままだった。
綺麗に眠る体を持ち上げて、庭ではなく、A育てていた撫子の花畑に寝かせた。
カーネーションの押花の栞で本を開いた。
やっぱり家族はフィクションだ
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ケントゥム - 憑き物って「トワイライトプランク」ですよね！！気付いたときめっちゃくちゃ嬉しかったです！！ (2022年7月22日 10時) (
レス) id: 3dc9f6a52b (このIDを非表示/違反報告)
卍エシラ(プロフ) - 紅覇さん» ありがとうございます！ (2020年5月2日 21時) (レス) id: 62414ec622 (このIDを非表示/違反報告)
紅覇 - 悲しすぎて胸の奥がキューってなりました。これからも頑張ってください！！ (2020年5月2日 14時) (レス) id: 6f781d8dfc (このIDを非表示/違反報告)
卍エシラ(プロフ) - 雪鈴さん» これが書きたくて仕方なかったので長くなってしまいました (2020年5月2日 13時) (レス) id: 62414ec622 (このIDを非表示/違反報告)
雪鈴(プロフ) - ……鬱先生、哀しすぎる…ついウルッと来てしまった…｡ (2020年5月2日 13時) (レス) id: 19448fa7ba (このIDを非表示/違反報告)
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