憑き物カレシ zm.Ver（ﾘｸ） ページ25
人外(イズナ)
彼に出会ったのは。とある海辺
波打ち際に裸足でたって、ずんずん、と深いところへ向かう。
「夕日を2人で半分こしよう。昼が私で、君が夜。2人合わせればオレンジの空になれるんだ。」
幼い頃同い年の弟と歌った歌を口ずさむ
彼は病気でなくなってしまったけど。
そして私は一歩一歩と弟の元へ、
あの日食べたおやつのクッキーを半分にして半分を私が食べてもうひとつを海に投げ捨てようとした。
「おい、しそ」
膝まで水に使ったところで声がした。
「だれ？」
人気のないこの海辺に来るのは誰なのか、私は振り返って、涙が流れた。
「……ゾム？」
弟の容姿とそっくりのその化け物は、私の手にもつクッキーをヨダレを垂らして見ていた。
「半分こする？」
私は水から上がって半分このクッキーを差し出した。
その化け物は目を輝かせてそのクッキーにかぶりついた。
でも一口で食べてしまった化け物は悲しそうな顔をした。
「足りなかった？」
「世界の全てを食べても僕の腹は膨れないんや。」
お腹がなる彼を見て、弟のことを思い出す。
よく食べる弟が、お腹を空かせるといつも私を見るのだ。
「食べに行こうか。」
私は足を拭いてレストランに向かった。
何十人分も並べられた料理と何重にも重ねられた皿
量もさることながらスピードも早くてまるで吸い込むように息を吸うように体に入れていく。
「ん？なんや？僕なんかおかしいか？」
「え？あぁいや……ふふっ、」
「ん？」
たくさん口の周りにソースや食べかすを付けた彼を見ると本当に、幼い弟に見えて、微笑ましくて……
「ふふっ…面白い」
「なんで、泣いとんや！？僕なんかしたか？なんでや！なぁ」
私はボロボロと涙を流していた。
いつも一緒にいた弟が、
突然いなくなった弟が
帰ってきたかのように、そこでご飯を食べてるかのように見えて、とても嬉しくて、寂しくて、悲しくて喜ばしかった。
びしょびしょに濡れた私の頬に化け物の指が触れた。
「泣かんといてや、あんた泣かしてるもん食べたるから。なぁ、僕あんたが笑ってる方が美味しそうで好きや」
「美味しそうって」
少し頬が緩む。
「もうお金ないや、ほかのところで食事しましょ」
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ケントゥム - 憑き物って「トワイライトプランク」ですよね！！気付いたときめっちゃくちゃ嬉しかったです！！ (2022年7月22日 10時) (
レス) id: 3dc9f6a52b (このIDを非表示/違反報告)
卍エシラ(プロフ) - 紅覇さん» ありがとうございます！ (2020年5月2日 21時) (レス) id: 62414ec622 (このIDを非表示/違反報告)
紅覇 - 悲しすぎて胸の奥がキューってなりました。これからも頑張ってください！！ (2020年5月2日 14時) (レス) id: 6f781d8dfc (このIDを非表示/違反報告)
卍エシラ(プロフ) - 雪鈴さん» これが書きたくて仕方なかったので長くなってしまいました (2020年5月2日 13時) (レス) id: 62414ec622 (このIDを非表示/違反報告)
雪鈴(プロフ) - ……鬱先生、哀しすぎる…ついウルッと来てしまった…｡ (2020年5月2日 13時) (レス) id: 19448fa7ba (このIDを非表示/違反報告)
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