一目瞭然 ページ40
「……なんでそう思うんでィ」
と。沖田隊長は私の言葉を聞いてか、逆にそう返してきた。いつもなら、質問を質問で返さないでくださいよ、と指摘してしまうところだけれど、今はそんなことが言える空気でもない。私が「…えと…」と考え込んでいる間にも、この部屋に流れる沈黙と漂う空気はとても重苦しくて、息をするのさえ忘れてしまいそうだ。沖田隊長を見据えていた目をあちらこちらへとさ迷わせた後、恐る恐る再び彼を見据え、今度は逸らさないようにじっと見つめる。
ギュッ、と。両手を握り締めては、私は決意を決めたかのように口を開く。
「……最近、沖田隊長、……様子が変だと、思ったので…」
…最後の方の言葉はだんだんと小さくなっていきながら、それでも私はそう沖田隊長に伝えた。その間にも、沖田隊長のその秋の景色を映したような赤い目はこちらを見ることなく、ただただ目の前にある資料を睨みつけたまま動かない。
……なんだろう。この、モヤモヤとした感覚は。
……どうしてだろう。
……沖田隊長の目が、ちっとも、一瞬も私を見てくれないことが。
……沖田隊長が、私の名前を一度も呼んでくれないことが、
……沖田隊長の様子が、いつもと違うことが、不安で不安で、寂しくて、仕方がないのだ。
自分でも思う。自分勝手だと。沖田隊長が私のことをからかってきたり、ニヤニヤとした嫌な笑みを浮かべていじってきたりするのが気にくわないはずなのに、突然にそれがなくなると、どうしようもなく不安になってしまうなんて。そう伝えたら、沖田隊長はどんな顔をするのだろうか。
「…私が何かしたなら、言ってください」
…ずっとこのままは、嫌なのだ。私に出来ることなら、どうにかしたい。そう思いながら私は、怒られるかどうかひやひやしながらに沖田隊長にそう口にした。じいっ、と彼を見据えて、それきり口を閉じて、沖田隊長の返答を待つ。次に彼から発される言葉を。
…そうして沖田隊長は、小さく口を開いた。
「…別に、」
…なんでもねェよ、と。隊長は言った。目も合わせることなく、何かの感情を押し殺したような声で。何かの感情を押さえ込んでいるかのような、声色で。今にもその隠した感情が、その声に色をつけてしまいそうなほど。
…沖田隊長は、何かを隠している。それは一目瞭然だった。
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雨散 - やばいいいいいいいいいいいい！！沖田のツンデレ？感があああああああ！！ (2019年8月5日 15時) (
レス) id: c6b3012422 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 理央さん» 理央さん！コメントありがとうございます！！面白いですか！私自身も色々試行錯誤しながら書いているのでお楽しみ頂けているなら嬉しいです！！引き続き少しでもお楽しみ頂けるように頑張りますので、よろしくお願いします！ (2018年1月25日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
理央 - ものすごく面白いです！ (2018年1月25日 21時) (レス) id: 703121ec8e (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - りんさん» 拗らせてます…(笑) シリアス書き出したらやっぱり止まりませんね…この拗らせてシリアスがパァッ、と盛り上がるように頑張ります！テスト勉強は……頑張りたくはないですが頑張ります(泣笑 (2018年1月3日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ミナさん» ミナさん！ありがとうございます！一番好きだなんて……嬉しいお言葉をありがとうございます！！長ったらしくやっていますが、今後ともお楽しみ頂けたら幸いです！沖田隊長にたくさんキュンキュンしていってください！！頑張らせて頂きます！！ (2018年1月3日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピピコ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時：2017年12月12日 18時
