【銀魂】沖田隊長、好きって何ですか？【沖田総悟】

燃え尽きた ページ1

Aside


「わかんない、よっ！」


と。沖田隊長のことについてモヤモヤと考えながら、私は道端に落ちていた石ころをなんとなく蹴飛ばしていた。冷静に考えてみれば、賑わっている昼頃の江戸の街で石ころを蹴飛ばすなんて、非常識にも程があったかもしれない。当然、それは人にぶつかってしまう。「あ…！」と声を漏らした時には、調度のタイミングで自動ドアから出てきた人物の足に、その石がコツン、と当たってしまったのだ。

ヒヤリ、と。冷や汗が流れる気がした。しまった、と思いながら、私はその人物の元へと歩み寄る。


「ご、ごめんなさい…！石、当たりましたよ…」


ね…？と。続けられるはずの言葉は、中途半端なまま私の喉の奥へと押し込まれていった。その人物の顔は、よく見知った顔であり、そして彼が出てきたお店の自動ドアの向こうから、何やらけたたましい、耳を塞ぎたくなるくらいの大音量が聞こえてきており。横目を向ければそこは、パチンコ屋さんで、ウィーン、と微かな機械音をたてながらに、その扉はしまっていった。

そして、ゆっくりとまたその人物の顔へと目を向けると。


…いつもの死んだ魚のような目が、今は更に死んでおり、生気を失っている。最早もう死人なのではないかというほどだった。大袈裟ではなく。

…その人物は冬の高い空を見上げ、ポツリ。呟くように、言った。


「…燃え尽きた…」

「…」

…それはさながら、某ボクシング漫画の主人公のような、そんな様子であった。燃え尽きた理由は恐らく、いや確実に、クソみたいな理由であろうことは明白だけれど。


…パチンコ屋さんの店前で、今にも灰になりそうな彼、坂田銀時に、私はどんな感情を抱いていいのか、分からなかった。


*

「…やっぱり、貴方はプライドというものがないのだと分かりました」


公園のベンチにて。私は自動販売機にて買ってきたココアを旦那に手渡しながらにそんな言葉を吐き捨てていた。ベンチにドッカリと腰を落ち着けている彼はそれを受け取りながら、不服そうな顔を向け「お前なァ、」と。先程まで燃え尽きていたけれど、今は取り敢えずいつもの死んだ魚のような目がに回復していた。

…まぁ、あまり変わらないか。


「俺はプライドの塊だっつったろ？男ってのはなァ、例え100万積まれても、プライドは捨てられねぇもんなんだよ」

「プライドがある人はそもそも、私のような未成年者にココアを奢らせることはまずしませんよ」


ていうか、多分この人なら100万積まれたら駿足でプライドなんか捨て去るだろう。捨てるだけのそれがあるとも思えないけれど。

冗談に聞こえない→

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