家庭教師ヒットマンREBORN!【短編集】 (ページ3)

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おうちデート【山本武】ページ3

ピンポーン＿＿＿

自宅の耳に馴染んだチャイムが鳴る

「は、はーい！」

予定時刻ぴったりに彼は迎えに来たが、その実私は10分程前から待ちきれずに玄関先の部屋でうろうろと高鳴る胸を押さえていた

「よっ！」

「あっ、おはよ…う」

「じゃあ行くか」

今日は彼の家で二人で過ごすことになっている

(いわゆるおうちデート…てやつなのかな)

昨晩からずっとわくわく、もといドキドキしていた

恋人の、彼の自室で二人きりなのだから平然としていられるわけない

ちら、と見ると隣を歩く彼の横顔からはあまり特別な雰囲気を感じなかった

(武はあんまりドキドキとかしてないのかな…)

こんな風に意識してしまう自分が過剰に考えすぎなのかと思って少しだけ俯くと、するっと私の右手に彼の左手が絡まってきた

「ふぇっ」

「な、家着くまでこうしてよーぜ」

「う、うん…」

顔が火照るのがわかる
もしかしたら照れているのがバレているかもしれないけど、そんなことも考える余裕もなく頭の中は右手に繋がれた彼の左手のことでいっぱいいっぱいだった

普通に手を繋ぐのとは違う、指を絡めた恋人繋ぎだ

あまりにも意識してしまうためなんとか別のことを考えようとするも、そうしようと思えば思うほど、右手の指先にまで神経が集中してしまう

「A、ほら着いたぞ」

武に声をかけられ、はっと目の前を見ると既に彼の家がそこにあった

(な…なんっっにも喋れなかった！！)

「ほら、俺の部屋こっちな」

「うん…」

移動中、せいぜい十数分しかないあの時間に、今日は何をしようか何を話そうか、武と話そうと思っていたのに…
そう思い、照れるばかりで何も話せなかった自分をつい責めてしまう

「ほい、お茶」

「あっおかまいなく…」

武のベッドの横のローテーブルに横並びに座る
彼の生活している空間に今いるのだと思うとなんだかむず痒い気持ちになる

「あんまり綺麗にしてなくてごめんなー」

「ううん、今日はお招きありがとう」

ほんの少しの沈黙が流れる

「な、今日もしかしてあんまり元気ない？」

突然降ってきた言葉にびっくりして武の顔をぱっと見る

「なんか、無理とかさせてねーかな？」

「そんなことないよ！？今日はすごく楽しみで…えと、今はその、緊張してて…」

そう伝えると、彼はふっと笑った

「そっかそっか、俺なんかしたかなーって思っちまってさ
手繋いだのとかも嫌だったりしたかなって」