ep9 待ち合わせ ページ9
【絢瀬絵里】
別れて以来ずっと会えず、高校生になりあの時の約束も忘れかけていた頃、彼を見つけた。
生憎彼の方は忘れていたけれど、それでもまた再会できたことが何よりも嬉しかった。
そして明日、彼と出かけることになった。思えば彼と二人きりで何処かに行くなんて何年振りだろうか。
明日が待ちきれず、その日の夜は中々寝付けなかった。
夏休み四日目
待ち合わせ場所に30分も早く着いてしまった。送れるよりはマシだけれど、少し気持ちが昂ぶり過ぎている気がする。
いや、せっかくの彼とのデートだ。
昂ぶり過ぎてしまうのも仕方ない、と自分に言い聞かせる。
絵里「けれど...Aの性格から考えて、待ち合わせ場所には時間ピッタリに来るか、少し遅れるかのどっちかでしょうね...はあ」
そうは言っても、やはりほんの少しだけ彼が早く来ることを期待してしまう。
彼が来てないか、辺りを見渡した。
絵里「うそ...」
遠くに欠伸をしながらこちらに歩いてくる彼が見えた。信じられない。
その光景を見て、鼓動が速くなる。
絵里「〜〜〜!A!」
我慢が出来なくなり、彼の名前を呼んでしまった。それに気づいた彼はビックリしたような表情で、急いでこちらに駆け寄ってきた。
A「え、絵里!?お前どうしてこんな早く...」
絵里「あ、あなたこそどうして...」
しばらく沈黙する。どうして、とは言ったが、彼がこんなに早く来てくれたことに対してものすごく嬉しい。私の顔は赤くなっていないだろうか。
A「いや、流石に女の子を待たせるのは格好つかないと思って...けど結果的に待たせちゃったみたいだな、すまん」
絵里「い、いえ、全然待ってないわ。本当に今来たところなのよ//」
駄目だ、顔が熱い。
私のことをしっかり女の子として意識してくれている。
A「ならいいんだけど...ところで絵里の方こそこんなに早く来てどうしたんだよ」
絵里「あ、いえ、その...えーと...」
完全にペースを崩され取り乱してしまう。頭が回らずうまい言い訳が思いつかない。
A「なんだ、楽しみ過ぎて早く来ちゃったのか?ははは、そうかそうか」
冗談を言う調子で彼が言ってくる。
本当はその通りだ。ただ流石に恥ずかしいので一応反論はしておく。
絵里「そ、そんなワケないでしょう!ほら、早く行きましょう!お互い早く来た分たくさん見て回れるわよ」
今日はいい一日になりそうだ。
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Cloc(プロフ) - うす笑 (2014年10月10日 18時) (レス) id: dbf5e5e9a4 (このIDを非表示/違反報告)
2103Satoshi(プロフ) - 最高すぐる (2014年7月15日 14時) (レス) id: f36ecadc16 (このIDを非表示/違反報告)
ピロ(プロフ) - すごくよかったです。ただギャグパートが面白すぎて電車内で笑っちゃったじゃないですか(笑)どうしてくれるんですかw (2014年5月22日 15時) (レス) id: 05faecfc48 (このIDを非表示/違反報告)
風吹けば名無し - ラブノベルス…本編よりサイドストーリーってか (2014年3月28日 0時) (レス) id: 2ee14e55a5 (このIDを非表示/違反報告)
虎竜(プロフ) - 更新お疲れ様です!いつも楽しみに待っています!頑張ってください! (2014年1月28日 1時) (レス) id: 757843876f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さとう | 作成日時:2014年1月19日 11時