番外編7 RE:START ページ28
A「ヒーローになりたいと思ったことがあるか」
体育祭当日の早朝、学校のトラックで里志に問いかけた。周りには誰もいない
里志「まあ、思ったことはないと言えば嘘になる」
A「だろうな、俺も幼い頃はなりたかった。
ウルトラマンやアンパンマンみたいな、そんなヒーローに」
A「だが多くの人間はこれに答えられない。”なぜ彼らは戦うのか”という問いにだ」
A「正義を執行してると言えば聞こえはいいが、この”正義”って言葉自体中々抽象的な言葉だ。
バイキンマンからすれば、自分を殴って遥か彼方に飛ばすアンパンマンこそ悪かもしれないし
バルタン星人からすれば、はさみ本来の役割を果たさずビームだけを出す自分こそが正義かもしれない」
A「何を以って正義とするのか、何を以って悪とするのか。そんなのは結局立場の問題だ」
A「話がズレたな。まあそんなことを早くからわかってしまった俺は、いつしかヒーローに憧れを抱かなくなった。困っている人を見かけたら誰彼構わず助け、自分が先陣を切って人々を導く主人公が嫌いになった」
A「だが最近の俺の評価はどうだろうか。まさに自分が嫌悪する主人公そのもののように扱われてる。冗談じゃない。
不特定多数の人間が困っていようがそんなのは知らないし、導くなんて面倒なことはしたくない」
A「俺は自分が一番だ。自分より他人を優先するなんてことはあり得ない。だから」
スターティングブロックの前に立つ。
A「今回も自分の体裁を守るために走ることにする」
足をかける。視界良好。吐き気なんてものはありはしない。
里志「おま、え...」
A「リスタートの時は来た」
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愛生ちゃん(プロフ) - 面白かったよ! (2014年12月22日 1時) (レス) id: 849c961f1d (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - 何故有名にならないのか分からない程の名作でした。私の尊敬する作者様です。どうか、これからも頑張って下さい。 (2014年4月29日 22時) (レス) id: d6c4a99353 (このIDを非表示/違反報告)
すぐるん(プロフ) - 2きが始まるのでそれの、小説もお願いします。 (2014年3月31日 14時) (レス) id: b478e35ba9 (このIDを非表示/違反報告)
すぐるん(プロフ) - 2きが始まるのでそれの、小説もお願いします。 (2014年3月31日 14時) (レス) id: b478e35ba9 (このIDを非表示/違反報告)
虎竜(プロフ) - めっちゃ良い話でした! (2014年1月26日 11時) (レス) id: 757843876f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さとう | 作成日時:2014年1月15日 2時