05:笑ってください ページ5
.
止まらない涙に、目の前の赤也が焦ってるのがわかる。ごめんね、困らせて。
でも、止まりそうにないの。
「A先輩…」
『自分で蒔いた種なのにね。馬鹿みたいでしょ？』
「いや…あの、」
私は何をしてるんだろう。
仲直りしようと意気込んだ双子の弟には拒まれ、目の前の後輩を困らせる。同級生にも気を使わせて。
もうヤダな。何もかもやめてしまいたい。
「A…？」
『あ、雅…』
「赤也、何かあったんか？」
「丸井先輩と、ちょっと…」
「ああ、なるほどな」
雅は納得したように苦笑いを浮かべた。
『雅、どうしよう。もう無理だよ』
「ほれほれ、泣きなさんな。せっかくの可愛い顔が台無しぜよ」
『う〜』
ホントはわかってる。
私が今までブン太にしてきたことが、私の気持ちじゃないように。
ブン太だってきっと、本気であんなこと思ってるはずがない。
わかるよ、ブン太。
だって私達は双子だから。
いつもブン太が、私のことを気にかけてくれてたことくらい、知ってる。
どうすればいいのかわからない。
ただ泣くことしかできない。嫌だ、このままなのは嫌だ。でもこの状況を打破することなんて、今の私にはできっこない。
「Aせんぱい！」
『…、赤也？』
「�爛瓮愁瓮修靴覆い如⊂个┃瓩奪后�
『え？』
「俺が入部したての頃、A先輩が俺に言った言葉ッス。お返しするッス」
ああ、そういえば。そんなこともあった。
まさかこんなところで、後輩にどんでん返しされるとは。情けないな。
自然と涙も引っ込んだ。赤也マジックだ。
雅は「お、泣き止んだ」と嬉しそうに微笑んでいた。
『赤也、ありがとね』
私の大切な後輩。
「Aも泣き止んだことじゃし、俺は俺の仕事をしようかの〜」
「？何するんスか？」
「秘密」
語尾にハートが付きそうな感じだ。
雅はそう言い残して、早々と去っていった。
『何だったのかな』
「さあ…？」
『赤也、成長したね』
「そっすか？えへへ」
『赤也のくせに、生意気だぞ』
そうだ。
みんな変わってるのに、変われてないのは私だけじゃないか。
後ろを向いてどうするんだ。
後戻りなんてできないのに、後ろを向いたって進めるはずがない。
それなら、前を向かないといけない。
『私、ちゃんとブン太と話すよ』
今度は絶対に逃げないし、逃げさせない。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 17人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カミーリア(プロフ) - 凛凛さん» いえいえ〜^^b頑張ってくださいね〜! (2013年6月27日 22時) (
レス) id: 524bf5ad49 (このIDを非表示/違反報告)
舞夕(プロフ) - 見に来ました！ここであってますか？ (2013年6月25日 6時) (レス) id: d05c753cc9 (このIDを非表示/違反報告)
カミーリア(プロフ) - ども!来ちゃいました☆←ここであってますよね・・・??面白かったです!!更新、頑張ってください! (2013年6月24日 22時) (レス) id: 524bf5ad49 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ココ x他1人 | 作成日時：2013年5月26日 22時
