03:過去と親友 ページ3
俺とAは、小さい頃から仲のいい双子として有名だった。
小さい頃は今みたいにAは俺のことを嫌いじゃなかったし、むしろ逆だったとも思う。
いつからこうなってしまったのか。
それは俺にもわからないが、きっと何か、Aにとって引き金になる出来事があったのだろう。
.
今まで、ブン太に対して酷いことをたくさん言ってきた。
態度にも出した。
でもその中で、唯一言ったことがない言葉。
“嫌い”
苦手だとは思っていた、ずっと。
だけど嫌いなんて思った事は実は1度もない。
『やっちゃったなあ…』
そもそも私がブン太に対して“ああ”なったのは、ある出来事があったから。
.
小学校4年生くらいの頃。
私はテニスクラブに入った。
毎日欠かさず練習に通ったし、試合で勝つこともたくさんあった。
ある日、ブン太も同じクラステニスクラブに入ることになって。
ブン太は私よりもどんどん上手くなる。
クラブのコーチには“天才”なんて言われ始める始末。
今まで私のことをすごいね、なんて言った大人たちも、次第にブン太の方へ流れてしまった。
思えば、夏休みの宿題だった習字も、絵も。
私がブン太に勝ったことなんて1度もなかったのだ。
その頃から、私はブン太を避けるようになった。
.
『ホントはね、仲直りだってしたいんだよ…』
「ウジウジうざったらしいな〜、もう謝ればいいじゃん」
私の親友である 佐野杏梨。通称あんちゃん。
いつも私の相談にのってくれる。面目ない。
この塩対応感も好き。
『今更“ごめんね”なんて私のプライドが許さないの!』
「そんなプライドクソくらえよ。ワガママね、Aも。じゃあ一生喧嘩してなさい」
『杏梨さま〜〜〜!』
これぞクールビューティ…。
もうあんちゃんがいればそれでいいかもしれない。
……いや、よくはない。
「とりあえず、自分は何もしないのに待ってるだけじゃダメなんじゃない?」
『でも…』
「でもじゃない!私も考えたげるから、ね?」
『…ありがと』
しぶしぶ頷く私に、あんちゃんはニヒヒと笑って私の背中を容赦なく叩くのだった。
「丸井ツインズ再始動に向けて!気合い入れるよ!」
『いったいよ!ひどい!あと丸井ツインズってやめて!』
「文句ばっか言わないでよ」
まあ、こんな親友がいることをありがたく思わないとね。
神さまどうか、私に一生分の幸運を!
.
17人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カミーリア(プロフ) - 凛凛さん» いえいえ〜^^b頑張ってくださいね〜! (2013年6月27日 22時) (レス) id: 524bf5ad49 (このIDを非表示/違反報告)
舞夕(プロフ) - 見に来ました!ここであってますか? (2013年6月25日 6時) (レス) id: d05c753cc9 (このIDを非表示/違反報告)
カミーリア(プロフ) - ども!来ちゃいました☆←ここであってますよね・・・??面白かったです!!更新、頑張ってください! (2013年6月24日 22時) (レス) id: 524bf5ad49 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ココ x他1人 | 作成日時:2013年5月26日 22時