日常の王子様 -Happiness which rolls daily- 短編集 【テニスの王子様】【ときメモGSシリーズ】

ポッキー同盟　＜芥川慈郎＞　ほのぼの ページ9

「え。」

あたしは困惑した。
こんなことはありえない、と。
叫びたくもなったが、他の人に迷惑がかっかちゃう。

だから、ぼそっと呟いた。


「新作ムースポッキー、お金足りない。」


昨日、チラシをひっぱりだしてあんなに下調べしたのに
どーしてあたしは財布の中身を確認しなかったんだ！！！！

だから詰めが甘いって言われるんだよ！

今日の英語だってbe動詞抜かしまくりで赤点ギリギリだったし
この前の数学だっ・・て？


「うわあああ！ムースポッキーの新作だ！おいしそー！！」


この制服はあたしの氷帝学園の制服だ。
それにこの髪色とふわふわ具合。
どっかで見たことがあるよーな。


「あ、お金足りない。」


あ。

テニス部の芥川慈郎くんだ。


「あのー。」

「えー？」

「ムースポッキー・・・」

「君も食べたいの？？」


すごくキラキラした笑顔が眩しい。
こんな人なんだ。
芥川くんって。


「あ、はい。でも、お金が足りなくて。」

「俺と一緒じゃーん！！」


しゃがんだ体制からすくっと立ち上がると
あたしの手を掴んだ。

意外にも背が高い。
失礼だけど、もっと小さいイメージだった。

なにより。
手が大きくて暖かかった。


「じゃ、じゃあ！割り勘しませんか？」

「おお！！半分ずつ払おう！」

「はい！！」


こうして新作ムースポッキーを買うことができたのだ。


のはいいのだけど。

帰り道、隣を歩く芥川くん。
口に買ったばかりの新作ムースポッキーを加えて
忙しそうに口を動かしている。


「あれ、君は食べないの？」

「あたしは家に帰ってからゆっくり食べます。」

「すっごく美味しいよ！！」

「期待してます！！」


本当に美味しそうだ。
これは楽しみ、楽しみ。


「ねね、君の名前は？」

「あ、(人１)Aです。」

「俺はねー、芥川慈郎って言うんだ。」


知ってます。
氷帝の人ならほぼ知ってます。
あたしの友達にも芥川くんが好きな人います。

きっとその友達に今日の話ししたら、殴られるので秘密にしときます。


「同じ釜の飯を食った仲間同士、仲良くしてねー。」

「はい！」


こうしてムースポッキー同盟が出来上がったのでした。


後日。

宅配が家に届いた。
なんだろうと包みを開けると大量の新作ムースポッキーだった。

嬉しさに泣きそうになりながら
送り主の名前を確認すると『跡部』と書いてあった。

んー。
ま、あの跡部様なはずないか。

誰だか分かんないけど、ありがとうございます！！！！

笑いの種　＜柳蓮二＞　切甘→←元気なトマト ＜向日岳人＞ 微甘

• 金　運: ★☆☆☆☆
• 恋愛運: ★★★☆☆
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