日常の王子様 -Happiness which rolls daily- 短編集 【テニスの王子様】【ときメモGSシリーズ】

夕焼けに泣け　＜仁王雅治＞　☆ぱるミン＠復活様リク☆　切 ページ22

ふたりがひとつだったなら
別れの日なんて来なかっただろう。


「今日は夕日が綺麗だね。」

「...真っ赤じゃな。」


後ろを振り向くと、長く伸びた2つの黒い影。
夕焼けがあたしたちを照らす。

いくつになっても、あたしは夕焼けが綺麗だとか子供っぽいことを言っている。

隣を歩く仁王は勝手に大人になってしまっていた。
あたしを置いて、だ。

中学の時は長い銀髪だった髪も
心なしか短くなってる気がする。

細身だった体も、程よい筋肉がついて
頼りになる男らしい体になっていた。

でも相変わらずな猫背に笑った。


「何年ぶりかの？」

「4、5年ぶりくらいかな。」

「...ずいぶんじゃな。」


あの頃は、あなたのため息の訳を聞きたがっていた。
解らないくせに知りたっがっていた。
力になりたいと背伸びをしていた。


「元気にしてた？」

「まぁな。」

「そっか。」


そんなことが言いたいんじゃない。

真っ赤な夕焼けがあたしを邪魔する。
あたしに涙を流させようと邪魔をする。


「仁王さ、」

「...なんじゃ。」

「あの時あたしを...あたしを」


ねぇ。
夕焼けが綺麗だと思う心を馬鹿にしないでね。
そう思う心を殺させないで。



「好きでいてくれた？」



あまりにも綺麗な夕焼けだから目を背けた。

違うな。
あなたから目を背けたかったの。



「A。」



長い指があたしの肩に触れる。



「...好きじゃった。本当に。」




ふたりがひとつだったなら
出会う日など来なかっただろう。

ふたりがひとつだったから
見つめる強さも生まれた。



あたしはあなたの胸の中で泣いた。

子供のように。
あの頃のように。



(真っ赤な夕焼け。)

くちぐせ　＜越前リョーマ＞　☆チョコの国のお姫様さんリク☆　切→←現在完了進行形　＜白石蔵之介＞　切甘

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