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「ぱぱもままも、イジメてきたあの子も、嫌いだったせんせーも、わたしのともだちも」
「ぜんぶぜんぶ、とぅやくんなんでしょ」
もはや疑問符すら付かないその言葉が酷く痛くて、刀也はなにも言えなかった。
それは刀也が今まで生きてきたなかで、なによりも質量を持って刀也の心の柔らかい所に深々と突き刺さった。
顔を青白くして立ち尽くしている刀也に、Aは笑いかけた。
「ぁは、ヤッパリそうだよね、わかっちゃうよ、わたしってべつに、ヒロインみたいに鈍感なワケじゃないし、」
「べつに、べつにさ、とぅやくんにおこってるとかじゃないんだよ。ほんと、ぜんぜん」
「マァとぅやくんに頼んでもないし、引き取り手のおばさんたちには気味悪がられて殴られるし、わたしに関わると不幸になるとかウワサながれちゃってだれも話しかけてくれないし、いちばんのともだちもいなくなったけど、ほんと、ぜんぜんさ、」
ニコニコ笑いながら話し続けるAから目が離したくても話せなかった。
冷や汗がとまらない。
目の前を、今まで手にかけた彼等の顔がカラカラと流れていった。
Aの両親、いじめっこのアイツ、最低教師、親友ちゃん…
嗚呼、碌な走馬灯じゃない。
全員が全員、まっかにぐちゃぐちゃに入り乱れて消えていった。
なにもききたくない。
もうなにも、だいすきなだいすきなAの声すら。
このままぽっかり何処かに浮かんで死んでしまいたい。
「とぅやくんのこと、スキだったのになあ」
刀也の望んでいた筈のその言葉は、既に取り返しのつかない場所へ取り残されてしまったようだった。
「でも、いまのわたしには、とぅやくんしかいないもん」
顔を歪めて冷や汗をびっしょりかいて、息を切らしながらAを見つめ続ける刀也に、Aは勢い良く抱きついた。
巻き起こった風に従って、黒髪ロングのAの髪が刀也を覆うように靡いた。
「だから、さ、ぁは、あはは」
首筋を擽った髪と、なによりも欲しかったその言葉が、刀也を泥沼に絡め取って奈落へ堕とした。
ぐずぐずに甘い彼女の香り、声音、
＿＿責任とってね、とぅやくん♡
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作者名：イタリアン | 作成日時：2023年4月14日 16時
