墓黙り【2j3j】 (ページ16)

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贅沢な時間【srn】ページ16

すみませんイニシャルでの略し方がわからなかったです。名(迷)探偵さんです。

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ヨーロッパの優雅な町並みを想起させる小洒落たカフェの一席で、男と女が向き合って座っていた。

風変わりな、如何にも探偵然とした風貌の男は、向かい合っている女をまぢまぢと見つめながら小さく口元を緩ませている。

対する女はまるで少女のような幼い顔立ちと体躯で、たっぷりのレースがみっちり縫い付けられたワンピースをツンとすました顔をして着こなしていた。彼女の前には1ピースのショートケーキが用意されていたはずだが、それらは既にキレイに彼女の胃の中だった。

男はあまりに女から目線を外さないので、彼女＿基Aは漸く居心地が悪そうに身じろぎをした。

ずずず、と音を立てて珈琲をすする男を、Aはチラリと睨む。

「おぎょーぎ悪いよ、シェリンくん」

ハイハイ、とでも言いたげに彼は小さく片眉を上げる。
やっぱり目線は離れなかった。寧ろやっと彼女の視線を得たことに喜ぶように、いよいよ目元まで緩み始めたようだった。モノクルの縁がきらりと日光を受け止めて光っていた。

やっぱりここの珈琲は格別である、
満足げなシェリンによって置かれたカップはカチャンと大きめの音を立てる。

それを見てAは明白に顔を顰めた。

「珈琲がかわいそうね」とつっけんどんに言い放つと、その白魚のような手で、置かれたばかりの彼の前のカップの乗ったソーサーを奪い取る。

『全くお嬢様はお作法に厳しいんだからァ…』

へなへなと巫山戯るシェリンと呼ばれた男を、呆れたように見つめながらAは口を尖らせた。

「そ、れからねぇ…その、そんなにわたしのこと見つめないで貰えるかしら」

さっきから居心地わるいのよ、と遠慮がちにシェリンを睨もうとする目つきがアンマリ愛おしくて、シェリンは遂に笑い出してしまった。

「ちょっと！なんで笑うの！」

『ゴメンごめんごめん！だって、』

珈琲が美味しくて、Aが可愛くて、幸せだなって。