墓黙り【2j3j】 (ページ11)

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ほうせき【knmc】ページ11

💎の国ぱろ
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日差しを浴びて幾月かぶりにAは伸びをした。

ぽかぽかの日光がキラキラとAの躰のあちこちに反射して、宛らプリズムの様に燦く目映い光が室内を満たす。

うつらうつらと虚空を眺めながら、Aは耳を澄ませた。

他の宝石たちが走り回るヒールの音、きゃらきゃらと弾けるような笑い声、鍛練の為に火花を散らす剣の音。

みんなはもう既に活発に活動しているのに、Aが今更目を覚ましている理由は、Aが数ある宝石たちの中でも一等脆く、弱く、そして美しいからだった。

体力もなく少しの衝撃でも粉々に割れてしまう為、他の宝石のように戦場には行けない。
悪く言うならば足手纏いになると、センセイが判断してのことである。

また、Aは今現在存在している宝石のうちでも最も美しいと評される程に輝かしく、平穏に日常を生活しているだけでも月人の注意を引いてしまう。

愈々Aに残されたことといえば、他の宝石の迷惑にならないよう、お部屋でヂっと大人しくしていることだった。

今日も日差しを浴びているだけの日だと、ぼんやりベッドに寝転がってAはタイクツしていた。

寝転がっているだけでは尚のこと体力が落ちるばかりだと思い立ち、なんとかベットから身を起こして、Aは窓をそうっと開ける。

一気に吹き込んで肌を擽る暖かい風と、鼻腔を満たす甘やかな春の香り。

ソレは余りに爽快で、Aの口元にも笑みが浮かぶ。

乱れた髪と髪がぶつかり合って、その勢いにチョッピリ毛先が欠けたけれど、Aにとっては取るに足らないことだった。

『あ〜！Aチャンだあ』

下の方から声が聞こえたので見下ろせば、そこにはやっぱり幾月かぶりに顔を合わせる宝石たちがAに向かって手を振っている。

よく通る声で起きたのかと問われ、肯定の意を込めて頷けば、彼等は笑った。

『ひさしぶりにあそぼうよ』

変わらず笑いかけてくれる宝石の仲間に安堵を覚えつつ、Aはまたそっと首肯して笑った。

眩しく燦く髪が、それに呼応するようにまた一層美しく光った。

今行くね、と久しぶりに喉を震わせようとしたその瞬間、

かつんと硬いヒールの音がすぐ側で鳴った。

Aが慌てて振り返ろうとすれば、黒い手袋を付けた掌で、足跡の主はAの視界を塞ぐ。

『久しぶりですね、A。』

爽やかな声と共にAの躰が抱き寄せられた。