ジレンマ 平野紫耀 ページ43
風邪って割と頑丈な人からも体力を奪う。
現に筋肉隆々な紫耀は風邪をこじらせ、立てないと言いたげにベッドに腰掛けてる。
平野「ねぇ寂しいからこっちきて」
そう言うと、冷えピタを持った私の手を引っ張った。
おいおい。
「風邪移しちゃうから離れてろ、とか言える優秀な彼氏はどこですか」
平野「なにそれ?」
そのまま後ろからホールドされる。
肩に顎を乗せられると、少し苦しげに呼吸してるのがわかった。
だいぶ熱上がってるんじゃないの?
暑い。いつもに増してバックハグが暑いぞ。
しかしそんなことはお構いなしに、
平野「もう逃げられないね」
紫耀は勝ち誇ったようにぐふふと笑い、鼻をすすった。
でも残念。
いつもならほどけない拘束も、発熱で非力な君からは逃れられるのだよ。
私はそのまま腕をほどいて立ち上がろうとすると、案の定すんなり立てた。
引き止める腕力はやっぱり無いみたいだ。
「大人しく寝てほしいな」
おでこに冷えピタを張りながら言う。
それから、いつもより赤みを帯びたほっぺたが膨らむのを見て
「じゃあおやすみ」
私は部屋を後にした。
・
言われた通り、仕方なく目を瞑った。
…優秀じゃなくてゴメンナサイ。
確かに風邪は移したくないけど…でもでも、Aがいてくれたほうが早く治ると思って。ね?
自分の幼稚さを可愛く言い訳しようと、頭を巡らせていた時、ドアが開いた。
「…よかった、ちゃんと寝てる」
Aの声がすぐ近くで聞こえて、とっさに寝たふりをしてしまう。
あれ、入ってきたの?
たぶんAは今、ベッドの傍でしゃがんでる。
「馬鹿は風邪引かないって言うのにね」
平野「…」
ぼそっと呟いたのが聞こえて、ちょっとムッとしたのも束の間。
頭をわしゃっと撫でられた感触がした。
ふーん。さっきは突き放したくせにね。
…ほんとは私も寂しいって言えばいいのにさ。
なんだなんだ、俺のこと大好きなんじゃん。
平野「ふっ」
数分前の不満がさっぱり無くなったせいか、思わず笑い声が出てしまった。
「え?え?起きてんの?」
俺がばれた…という顔でまぶたを開くと
同じく、ばれた…と言わんばかりに真っ赤な顔で立ち尽くすAがいた。
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P_sz様リクエスト
看病系人気ですね、どうしてなんでしょう?笑
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さく象(プロフ) - もんちくん☆さん» 感想ありがとうございます(;_;) リクもありがたいです!書かせていただきますね! (2017年6月16日 23時) (レス) id: 5b69543648 (このIDを非表示/違反報告)
のらねこ(プロフ) - 西畑くんの、ありがとうございました!( ´тωт` ) とてもキュンときてさすがさく象さんだなと思いました!受験応援してます!不定期でも楽しみにしています! (2017年6月12日 22時) (レス) id: d7adf708f0 (このIDを非表示/違反報告)
もんちくん☆ - ありがとうございます!大好きな関西Jr.コンビなのでめっちゃ嬉しかったです!!もし良ければ大西風雅くんと高橋恭平くんでも同じ感じでお願いします! (2017年6月12日 7時) (レス) id: 4e0bba61ce (このIDを非表示/違反報告)
さく象(プロフ) - リクエストありがとうございます!当方受験生でして更新は不定期ですが、これからも読み続けてくださると嬉しいです…! (2017年6月11日 11時) (レス) id: 0869681e7f (このIDを非表示/違反報告)
さく象(プロフ) - もんちくん☆さん» 遅れてすみません(;_;) 上手く書けてる自信はありませんが楽しんでいただけると嬉しいです…! (2017年6月11日 11時) (レス) id: 0869681e7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さく象 | 作成日時:2015年8月17日 14時