短編集**Jr. SZ JW

看病　中島健人 ページ23

ちょうどくしゃみをしたタイミングでドアが開いた。




健人「寒いの？」
「んー、ちょっと」



ベッドから、いつもの何倍も重い体を起こして


健人「はい」
「ありがとー」


健人から渡された薬と水を飲む。




健人「熱上がっちゃったかな」




多分いま、健人は私のおでこに手を当ててる。

ぼーっとして、なんだか視界が良好じゃない。



おかしいなー薬利いてないかなー、なんていう
優しい声も遠い。





健人「おーい。A？」






・





わたしは、いつの間にか寝てしまってたみたい。



健人の声は、どこか安心するから。







・





健人「風邪治ったら、２人でデートでもしようね」


「んー…」





あれ、なんだか

背中から体温が感じ取れる。






「けんと…？」




ふふ、と笑う声が耳元で聞こえて目が覚めた。







健人「呼んだ？健人でーす」

「…はいはい」

健人「ご要望は？」

「特に無しで」








ああ、わかった。


いま、健人に後ろから抱きしめられてるのか。だから座りながら寝れたんだ。




いつの間に布団の中入ってきたの…？







健人「このまま俺も寝ちゃおっかな」



すると、わたしを拘束したままごろんと横に寝転がる。




「え、移っちゃうよ」



健人「いいのいいの」


よくないけど…。





健人「で、ご要望は？ギューってしてほしいって？」

「言ってない、特に無し」

健人「はい、ギュー！」







わたしがいま風邪だからって、
力が弱いのを知って。





彼の少しの力にも、抵抗できない。

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