だいすきはっぴーついんたわー

ねえ。＃青桃 ページ40

「なあ、海行かへん？」



たったのその言葉、が俺にとってはとてつもなく重くのしかかる。


行きたい、誘いたい。

流星とバーベキューしたい。


俺も流星を誘いたい。

そんな本人は、俺の斜め前でスマホを弄っている。

ちらちらと同じロケバスにいる流星を見つめるけど、なかなか視線は絡まない。



「……望、」



いきなり呼ばれて、気づいてくれたかと嬉しくなれば、



「テイッシュ持ってない？」



なんて、ただティッシュが欲しかっただけ。



「…ん、花粉症？」


「んー…おおきに」



スタッフさんとか持ってそうやけど。なんて考えながら、たまたま入っていたポケットティッシュをまるごと渡そうとした。


…でも、流星はスマホを弄ったままこちらを振り向かない。



「…流星？」


「なに？」


「…いや、なにちゃうくて…これ、」


「望はなにが言いたかったん？」



ティッシュをしまいかけていた手が止まった。

…もしかして、と嫌な予感がして前を向くと、流星が振り向いて俺を見つめていた。



「視線感じたけど。望やろ？」



こてん、と首を傾げて言う流星。

…あぁ、そんなんあかん。好き。それめっちゃ好き。



「バーベキュー…」


「バーベキュー？」


「…り、流星も連れてってあげるわ」


「上からやな」



流星は、そう笑って頷いてくれた。


ほんまかわええな、

なんて、流星の声が小さすぎてその時は聞こえなかったわけやけど。

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