秘密 ページ23
トリエルを説得した後、Aとフリスクはスノーフルへ向かっていた。
地下世界でも夜という概念があるのか、辺りは昼間の時間帯よりもどこか暗く感じられる。
「暗くなってきたし送っていくよ。」とトリエルが編んだマフラーを巻きながらフリスクは言う。
「いや、私は大丈夫だから。」と彼女はやんわり断るも、「Aとまだ話したいってのもあるから。」と言われれば、流石のAもこれ以上断る理由もなく仕方なしに折れた。
「A、今日は本当にありがとう。」
「トリエルさん、納得してもらえて良かったね。」
「Aのおかげさ。まさか扉まで壊そうとするなんて流石の僕も驚いたよ。
うまい具合にAがあの場を収めてくれなかったら今頃どうなっていた事か…。」
「今すぐにでも飛び出す勢いだったもんね。ちょっぴしビビったよ。」
「ママ、こうと決めたら実行するタイプだからね。」
そんな話をしながら雪の道を進む。
「ねえ、フリスク。」
「ん?」
「さっきの会話で、その、ご両親が事故で亡くなられたって…。」
「………うん。正直僕もその場にいたらしいんだけど、その時まだ5歳だったし事故のショックでその辺りの記憶がないんだ。
人伝で聞いた話だと当時両親と姉さんそして僕は事故現場にいて、事故が起きた時姉さんは命がけで僕を守ってくれたらしい。
両親は亡くなったけど、さっきも話した通り幸い一命を取り留めた姉さんは今も大きな病院にいる。…意識が回復するのは難しいとも言われているけどね。」
「…寂しくないの?」
「かれこれ5年は経つからね。もう慣れたよ。」
そう言い力なく笑うフリスクにAは心を痛めた。
「これは憶測に過ぎないけどさ、多分姉さんはAみたいな人だと思うんだ。」
Aのソウルがドキリ、と大きく跳ねる。
「それは…どうして?」
「何て言うかうまく言えないんだけど、Aといるととても懐かしい気持ちになるんだ。
心がポカポカしてあったかくて優しい気持ちになる。」
「…そっか、私もフリスクを弟のように思っているよ。」
「ほんと?…嬉しいな。」
「…。」
今この場で「自分はフリスクの姉なんだよ。」と言えたらどんなに良いものか。
ただ、そんな事言ったら彼は酷く傷付き、自分を責めてしまうだろう。
それだけは極力避けたい。それに今はまだその時ではない、とこみ上げる気持ちにそっと蓋をした。
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MALCO(プロフ) - コメントありがとうございますo( ^_^ )o 少しずつですが続編作ってますo( ^_^ )o 落ち着いたら公開しようと思うのでそれまでよろしくお願いします♪♪ (2020年12月2日 23時) (レス) id: 6553205470 (このIDを非表示/違反報告)
黒月 - すごく面白かったです!続きを楽しみにしています!更新頑張ってください!(*´▽`*)! (2020年11月28日 20時) (レス) id: c7163e8141 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:MALCO | 作成日時:2020年7月19日 22時