ひとときの愛おしさを、君と【短編集】 (ページ5)

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skt. ページ5

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「おはよう、」

「坂田くん、おはよう」

俺よりも早く起きた彼女は朝ごはんを食べながらパソコンを打っていた。

「今日授業なん？」

「まだ夏休みだけど実習？インターン？的なちょっと行かなきゃなんだ〜」

俺の彼女は大学生。ちなみに薬学部。
出会いは全然医療関係じゃなくてたまたま、たまたま彼女が、大学生だったというだけ。

「もうそんな時期か〜」

「今色々募集あるからさ、行ってこようと思って。」

「そっかぁ〜今日も暑いし無理せんとな」

「はぁ〜い」

彼女は年下なのにしっかりしていると感じる。
だけどたまに抜けたとことか甘えたところを見せる姿が可愛くてそんな沼にハマってるんだろうなぁって。

「ねえ、ここってどうだと思う？」

「んー？」

「っ、」

彼女から聞いてきたのに、近づくと彼女の体がぴくっと跳ねた。

「あっ、えっびっくりしたぁ」

「ごめんごめん…こっちがびっくりしたわ」

そう、彼女はウブだ。今まで恋愛はしてこなかった(というか興味がなかったらしい)だから顔が近づいただけでドキドキしてしまうし手を繋いだりハグとかキスのハードルもめちゃくちゃ。

「で、どうしたん？」

「あえっと、…この病院のここってどうだろって…」

「あーここって結構でかいとこやんな」

平然と話してるふうだけど彼女の耳は赤いし手もちょっとぎこちない。

「ふふっ、」

そんな彼女に気づいてしまうと面白いもので、つい笑ってしまった。

「怖、なんで笑うの」

「いやっ、ごめんっ、ふっ」

不満そうな顔をする彼女。表情が豊かなところも可愛いところ。

「いやぁ〜可愛いなぁって」

「…可愛くない」

「ん〜耳赤くて可愛いなぁ〜」

やだやめてやめて、と抵抗する彼女。それも恥ずかしいのかパソコンを閉じて席を立って逃げてしまった。

「あ〜A〜」

「いない！」

「いるやん！」

部屋にこもったかと思うとスーツを着て出てきた彼女。そんな姿に惹かれてしまったのは俺で、かわいいなぁ〜！！とつい抱きしめてしまった。

すっぽりと腕に納まってしまう彼女。また耳が赤くなってくる。ゆっくり腕を回してくれるところに成長を感じる。

「変な医者に声掛けられてもついて行かんといてよ？」

「医者はそんな暇無いし関わりません。」

「それはそやけど〜…」

「あっ電車の時間！」

急がなきゃ、と腕の中から脱出し玄関に向かう彼女の後を追いかける。

知ってるで、電車の時間まだ先なの。
いつになったらハグを彼女からしてくれるのか、待ち遠しくて仕方がない。