浦島坂田船でただただ妄想を膨らませるやつ【短編集】 (ページ10)

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禁欲【センラ】ページ10

ガチャッ

あ、帰ってきた。

玄関の開いた音に反応して私は玄関までダッシュした。
そして彼に抱きついた。

「ただいｍ…っと。危なっ」

『おかえり』

センラくんのお腹に変えをうずめてつぶやく。
「ただいま。」

一か月の出張から帰ってきたセンラくん。
この一か月寂しすぎて死ぬかと思ったなんて口が裂けても言えない。

自分より年上で大人なセンラくんだからすごくすごく対応も大人で、なんでもリードしてくれる。
そんなセンラくんがいない一か月は心に穴が開いていた。

「あ、約束守れた？」

そう、出張に行く前の日の夜。
やることをやり終えたベッドの上でこんな約束をした

＊
＊＊

「やっぱり寂しいなぁ…」

『…Aも行く』

「だーめ」

『一か月家に一人とかいたくないもん。やだ！』

「駄々こねてんのー？かわいいなぁ…じゃーあ…一か月俺と会えない間でなんか一つ約
束決めて達成できたらご褒美みたいなのしようや」

『ご褒美？』

「そ、ご褒美。お、いいの思いついた。」

『？』

「明日から一か月禁欲するっていうのは？」

『禁欲？』

「そう禁欲。会えない間できひんやろ？だからって一人でするのもダメ。ずっと我慢して一か月後俺に再開。そのあとどうなるかな～？」

『……やだ』

「やだってことは一人でするつもりやったん？Aちゃんったらかわいい～」

『そんなんじゃないよ！！しないもん！』

「じゃあそんなんむしろ余裕なうえにご褒美もらえるやん。よし、決定やな」

＊＊
＊

センラくんの圧に負けて承諾してしまった約束。
余裕で一か月乗り越えたわけじゃない。

約束を破って嘘をつくことも考えた。
生理前で我慢ができなくなりそうなときもあった。
センラくんの歌みたを聞いたり、生放送を聞いたときなんて我慢どころじゃなかった。
それでも一か月先の会うために頑張ったのだ。

もう我慢しなくていいってことだよね。

「ちょっ…んっ…」

そう思うともう質問とか会話とかどうでもよくなった。

「積極的やなぁ…我慢できたんや。偉いね。」

そう言って頭をなでてくれるセンラくん。
好きすぎる。

『しよ』
スーツの袖を引っ張って、上目遣いで。

「仰せのままに。」