悪女

二つの傷跡:W緑 ページ19

あの日の僕の罪を

あなたは許してくれるだろうか

ただ楽しかったあの日を

僕は今も忘れることはできない。



恋をした

叶わない恋を無理矢理動かした


あなたを傷つけた


というか

自分が傷ついた



二度とあんなことは出来ないと

こういう仕事を始めたのに


彼女の「愛してる」に殺されそうで


自分も『愛してる』に染まった




何かに狂った彼女は俺に訴えかけている


緑:『…どしたん』


あなた:「不条理だと思って。

初めて空に嫉妬した、ん」

緑:『えっ？大丈夫！？』


膝からガクンと倒れたAさんを抱える


あなた:「臭いやろ？

さっきまで男のとこにいたんよ」


緑:『は、はぁ…』


体からきつい香水の匂いがした



彼氏のところに行った


男物の香水に気づいてくれるか試した


期待した


裏切られた


いろんなものを失った



そう言うAさんは泣いていなかった


緑:『泣かへんの？』


あなた:「泣けへんもん」


覚悟はしてる


今以上に苦しめることになるかもしれないと


でも少しでいい

今だけでもいい


彼女の深い傷跡が癒えるなら


『愛しとる

とか言ったら、アカン？』


行き場のない思いを伝えること


どうか許してください



「行かないで

約束…してや」


だって俺らの愛は

非合法やないやろ？


二人だけは真実


流した涙さえも


俺のものになってよ

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