悪女

楽しかった よ ページ12

久々に望の部屋に泊りこんだ


映画も行って、行きたかったカフェにも行った


それでも物足りない物足りない


そんでせがんでもう一回泊まって


今日こそ帰らなきゃいけない


あなた:「また泊まりいくで？」


W桃:『どしたんよ、そんな離れとるわけちゃうやん』


マンション前のコンビニ


ちょうど駐車場のはしっこで

うっすらと店の灯り


あなた:「だって久しぶりやったからさ…

ちょっと寂しいかなって」


W桃:『……』


あなた:「のぞっ ！ん」


車中なんて久しぶり過ぎて

ドキドキして

いつもの何倍も長く感じるキス


W桃:『ごめんな、別にわかってないわけちゃうねん』


あなた:「うん、大丈夫

私だってわかっとるよ」



車を出て自分のマンションへ


望の気持ちはどこを向いてるんやろう


たまにそんなことが頭をよぎって


楽しかったはずなのに、何かが欠けている感じ


ベランダに出て電話帳をさぐる

まだ着いてないか、と思いながらも気がせけて


唇に触れると、まだ残ってる微熱


ねぇ望

楽しかったよ望


私たちまだ大丈夫やんね？


もう寂しい思いさせないで


ワンコールで通話終了ボタンを押す



ねぇ望


コンビニの陰で


私以外の女と


キスしないで

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