第一話 初めましてじゃない初対面�� ページ10
私の悲鳴が辺りにこだまする。
だって目玉。
妖怪は空気のように見慣れてる。否、自惚れだった。
こんなの、知らなければ、ただただ恐怖。
猫娘「あんた、何で私達にもあの日本人形にもこれぽっちもびびらなかったくせにおやじさんには驚いてんのよ……。」
まな「まあまあねこ姉さん、そんなものだよ。私もすごくびっくりしたもん。」
猫娘「この子、今の今まで冷静そのものだったのに、この世の終わりかのように叫んでるのよ？」
まな「亜久里ちゃん、いつも冷静だから。流石におやじさんには負けちゃったみたいだけど。」
呆れる猫娘にフォローするまなちゃん。
目玉の妖怪は「よっと」と言って鬼太郎の手の平に飛び移った。短い悲鳴を上げて、思わず側にいた猫娘の腕にしがみつく。振りほどかれるかと思ったけど、そんな素振りはなく
猫娘「大丈夫、おやじさんはいいひとよ。」
ふっと優しい笑みを浮かべていた。
私に何となく素っ気なかったけど、やっぱり根は優しいひとだ。鬼太郎は私に数歩近付いた。そして
鬼太郎「亜久里、僕の父さんだ。」
亜久里「へ、鬼太郎、今なんて？」
鬼太郎「父さんだ。」
亜久里「父さん。誰の。」
鬼太郎「僕の。」
亜久里「鬼太郎のお父さん。」
鬼太郎「そうだ。」
亜久里「目玉の妖怪さんが……鬼太郎のお父さん。」
鬼太郎「ああ。血の繋がった正真正銘僕の父親だ。」
鬼太郎は出会った時と同じ、1つの波紋もないほど揺るがない落ち着いた表情と落ち着いた声。それに対して私は、水に溺れて藁にもすがるように猫娘にしがみ付き、カタカタと体と声を震わせて話す。……客観的に見たら変な絵面だなきっと。
？？？「初めまして、亜久里ちゃん。わしはこの鬼太郎の父親じゃ。目玉おやじと呼ばれておる。」
亜久里「あ、挨拶が遅れました。鶴代亜久里といいます。失礼な態度をとってしまってすみません。」
深々と頭を下げる。
目玉おやじ。
そうだ。
全然思い出せなかったけど、アニメにもちゃんといた。
なんで思い出せなかったのか不思議だけど、おかげで自然な反応が出来たんじゃないかな。
目玉おやじを見た人間が恐怖と驚きで叫ぶという、至極当然な反応を。
目玉おやじ「気にしなくて大丈夫じゃよ。わしを見た人間はみんな通る道じゃ。」
器が大きいことで。
改めて、目玉1つだというのに何て貫禄だろう。確か鬼太郎と目玉おやじは幽霊族の末裔で、王家の血筋だったような。
鬼太郎「それより父さん、さっき言っていたことですが。」
第一話 初めましてじゃない初対面��→←第一話 初めましてじゃない初対面��
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 40人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：一ノ瀬花恋 | 作成日時：2023年12月6日 4時
