たそかれ娘の青春【ゲゲゲの鬼太郎(第6作)】 (ページ6)

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第一話初めましてじゃない初対面⑤ ページ6

ここの先祖返りの家は別に全部が全部超絶繁栄してるのわけじゃないし、あの物語にうちの鶴代家みたいに「先祖返り万歳！妖怪大好き！共に生きよう！」みたいな家出てこなかったはず。

……とりあえず。
前世の記憶を思い出したわけだけど。(私自身のことは名前も何も思い出せないけど、霞は消えたから問題なし。この世界で今を生きているのだから必要ない。)

この世界はゲゲゲの鬼太郎、に先祖返りがある世界線。

そこに先祖返りとして異世界転生した私。
ということを理解した。

思い出した今となっては何故気付くのに13年もかかったのかが謎だ。本当に色々と。

猫娘「まな、無事？もう、私たちに任せて家に帰るように送ったのに。」

まな「ごめん、ねこ姉さん。どうしても放っておけなくて。やっぱり私も呪いの人形一緒に探すよ」

鬼太郎「駄目だ、危険すぎる。呪いの人形は僕達が何とかする。君は早く家に帰るんだ。」

めっちゃばっさりいった。そういえばこんな感じだったな。

まな「でも鬼太郎……」

鬼太郎「いいね」

小さい子に言い聞かせるような、でも有無を言わさぬ言い方。実際、彼から見たら私達は子どもだが。
鬼太郎の言い分もまなちゃんの言い分も分かるから、なんとも言えない。

……ていうか私めっちゃアウェイ。気まず。この場から消えたい。鬼太郎と猫娘をもう少し見てたいけど、気まずさが勝つ。どうしようかな、そーっとフェードアウトするのがわたし的ベスト。でもまなちゃんに不信感与えかねない。ベターは話を区切らせることになるが「ごめん、用事あった！じゃあね！」と言って光の速さで去る、だ。でも使えない。さっきドヤ顔で言った台詞が刺さる。あの台詞は別に嘘じゃないから最終的にはブーメランにならないけど、まなちゃんから見たら急所を刺してる案件だ。
どうしたものかと悶々と考えている間に、鬼太郎が私に視線を移す。

鬼太郎「まな、その子は？」

まな「この子は、同じクラスの……」

と言いかけてから、嬉しそうな顔で首を振って

まな「友達の亜久里ちゃん。一緒に呪い……じゃなくて日本人形を探してくれるって。」

うっ、さっき若干不純な考えで友達と言った身に染みる。嬉しそうな様子も口角を上げて笑った顔も弾んだ声も。
ピュアだなこの子、騙されないかな。あ、でも同級生と腹の探り合いも出来るから馬鹿でも頭が悪いわけでもないか。

亜久里「初めまして、鶴代亜久里といいます。」

かっこ、私は初めましてじゃありません、と。