第一話 初めましてじゃない初対面�� ページ4
いや、知らなかったというより。
思い出せなかったの方が近いこの感覚。何故？
今更ながら、まなちゃんの呪いなんて言葉を、悪ふざけの類いである可能性を少しも疑わないなんて。血縁の人間以外の呪いやら妖怪の話だったら、まず疑うし警戒するし(表面に出さないように努めるが)、あらゆる可能性から自分の身の安全を考えるのに。
この子は大丈夫と、記憶の彼方から告げられている感覚。
亜久里「……ごめん、心当たりないかな。」
ここ数日の記憶も辿ったけど覚えがない。何より、呪いや妖怪の気配を感じなかったし。
まな「そっか……。」
少し落胆した表情。
呪いということなら見て見ぬふりは出来ない。
亜久里「その日本人形はまなちゃんの大切な物なの？」
まな「あ……ううん、違うの！私の物じゃない。でも見つけないと……」
そこで言葉が止まる。呪いのことを誤魔化していたし、知られたくないのだろう。知らせるべきではない、かな。
亜久里「分かった。じゃあ、私も一緒に探すよ。」
まな「ええ！？いいよ、危ないもん！もう時期暗くなるし。」
亜久里「それはお互いだよ。暗くて危ないなら、2人で探した方が絶対いいって！」
まな「でも悪いよ。亜久里ちゃんのご両親も心配するんじゃ……」
亜久里「私の家、そういうの大丈夫。むしろ行ってこいって言われるし、ここで帰ったら怒られる。友達の危険を放っておく薄情な子に育てた記憶はない！って言われそう。」
正直はっきりと友達と言えるほど仲良くないが、あえて使う。押し切るために。
その効果あってか、はっとした表情になった。そしてよかった、友達という言葉に嫌悪感を感じる様子なく、少し嬉しさを感じているようだ。
まな「友達……」
亜久里「大丈夫！その辺の奴らに負けるほど弱くないから！スパルタに鍛えられてるから！」
まな「強いのは知ってるけど……」
亜久里「それに私、探し物は少し得意なの。」
妖怪やら呪い関連限定ですが。
まな「亜久里ちゃん、ありがとう。一緒に探そう。」
よし、成功。
ところでまなちゃん、危険なのはまなちゃんもだよね。何故危険を承知で首を突っ込める？
妖怪と戦える力、あなたにはないのに。
記憶の彼方に問いかける。でも答えは聞こえない。
だから私から手を伸ばしたけど、白い霞が邪魔をする。
カランコロン。カランコロン。
下駄の音だ。
おばあちゃんや妖怪が下駄を履いてるから知ってる。
でもおばあちゃんの音じゃない。
知らない音。
違う、知ってる。
でも初めて聞いた。
この世界では。
━━━━━━━━━━━━━━━この世界ではってなに。
第一話 初めましてじゃない初対面�あ�←第一話 初めましてじゃない初対面��
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 40人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：一ノ瀬花恋 | 作成日時：2023年12月6日 4時
