たそかれ娘の青春【ゲゲゲの鬼太郎(第6作)】 (ページ21)

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第一話初めましてじゃない初対面⑳ ページ21

身長は100cm程度だろうか。顔は亜久里そのもので宝尽くしや絢爛な花々のあしらいが施された着物と中心に大きな薬玉の刺繍が入った被布を身に纏っている。まるで七五三を迎えたあどけない幼女。だが強い妖気が溢れており、一見無垢な瞳や幼女らしい可憐な笑みもより警戒心を掻き立てる要素でしかない。力の持った妖怪と呼ぶに値する。

まな「亜久里ちゃん、なの？」

目の前のことに信じられない様子のまな。恐る恐る問いかけた。

亜久里「うん、そうだよ。先祖返りしたの。妖怪になると小さくなっちゃうんだぁ。髪もめっちゃ伸びるし。」

腰より下に伸びた髪を触りながら、あははとあっけらかんに笑う亜久里。声色も見た目同様、幼女らしいものとなっているが、その声で舌っ足らずさもなく流暢に話す姿は、若干の違和感を与えた。そしていつの間にか、両手に可愛らしい鞠を持っていた。

日本人形は最初こそ彼女の妖力に警戒していたが、恐ろしさを感じない見た目と妖気に対して、再度にやりと笑みを深めた。

「うふふふふやっぱり私は幸運だわ。確かにお前の妖気は強いものだけど恐れるに値しない。都合のいいエサでしかないわあああああ！！！」

1束の髪を目にも止まらぬ勢いで亜久里に向かって振り下ろし、地面を砕く轟音。

まな「亜久里ちゃん！！」

砂煙が消える。そこには痛々しい姿で倒れる亜久里━━━━━━━━━━━━━━━

の姿があるはずだった。

先程と変わらず、純粋な幼女特有の可憐な笑みを浮かべた亜久里。の真横に彼女より太い髪の束が床に突き刺さっていた。

「なんで……」

猫娘「な……あの一瞬で避けたの？」

鬼太郎「いや、亜久里が避けたようには見えなかった」

猫娘「じゃあ、あいつが外したってこと？」

先程まで寸分の狂いもなく狙いを定めてきた日本人形が？とても信じられない。
戸惑う周りをよそに、亜久里は涼しい表情で、着物にかかった砂埃を払っている。

「ふん、まぐれよ。次はないわ。」

今度はさらに髪に妖力を込め、先程のように5本ほどの束にすると一斉に亜久里を貫くように放った。

髪が亜久里に到達点するまでの間は1秒弱。その1秒弱の時のこと。鬼太郎は亜久里が両手に鞠を持っている姿を見た。━━━━━━━━━━━━━━━先程持っていた鞠とは別の色と柄。では先程の鞠はどこに？いつからなくなった？

その答えが出る前に再び轟音と砂煙。
今度こそと笑みを深める日本人形。

しかし、亜久里に髪の毛は1本も当たることなく真横の床を貫いていた。

「馬鹿なそんなはずは……。お前何をした？」

亜久里「さあ？教えてあげない。」

その手には鞠はなかった。