たそかれ娘の青春【ゲゲゲの鬼太郎(第6作)】 (ページ20)

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第一話初めましてじゃない初対面⑲ ページ20

日本人形は髪の毛を5本程の束にして振り回しいた。結構な妖力が込められている。あれじゃあ、並の攻撃じゃ太刀打ち出来ないだろう。妖気もさっき出て来た時より増していた。

亜久里「鬼太郎、猫娘さん……」

駆け寄ろうとすると

鬼太郎「来るな！」

強い口調で牽制された。思わず足を止める。

猫娘「ッあんたはまなと一緒に逃げて……。」

まな「でも、ねこ姉さん」

猫娘「私達は大丈夫よ。」

鬼太郎「日本人形は僕達が必ず倒す。」

まなちゃんは悲しげな表情をする。それはそうだ、2人ともダメージを受けてボロボロだもの。腕に力を入れて立ち上がろとするが、上体を起こすのが精一杯な様子。

「うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ。あっけないわねええ……鬼太郎さえ倒せればこれで可愛い女の子は私の物よおおお！あははははははははははははははははははは」

勝利を確信したつもりの日本人形は気味の悪さを増した高笑いをする。

私はもう一度歩き始め、鬼太郎と猫娘の前に立った。そして、日本人形を見据える。

鬼太郎「何をやってるんだ亜久里、早く逃げろ。」

亜久里「やだよ、こんな状況で鬼太郎と猫娘さんを置いて逃げるとか。絶対にいや。」

鬼太郎「嫌じゃない、だめだ。危険すぎる。さっきだって」
亜久里「大丈夫だから。見てて。」

そう言いながら振り向いて微笑んでみせる。少しでも大丈夫だと思わせる為に。

「うふふふふふふふふふふふふ。自分から養分になりに来たのね先祖返り。殊勝な心がけだわ。鴨が葱を背負ってくるとはこのことね。」

相変わらず、私をただの弱者だと侮っている。ちょうどいいけど。

亜久里「……あなたさっき幸運だとか言ってなかった？」

「ええ、言ったわ。鬼太郎に邪魔されてどうなることかと思ったけど、先祖返りであるお前が現れて、大量の人形の魂も食らって……。可愛い女の子が手に入るのよ！！！これを幸運と言わずして何て言うのかしら！！うふふふふふふふふふふふふふふふ」

亜久里「勘違い。」

私の言葉を聞いて、日本人形の妖怪はピクリと眉を動かす。

「……はあ？」

亜久里「だって、私がいるんだから。」

そう言って私は先祖返りの力を解放して、妖怪へ変身した。

淡々と日本人形と言葉を交わす亜久里。

瞬間、亜久里の体が光に包まれる。光は徐々に大きく広がりいくつもの帯のような形になり、ゆらりゆらりと揺蕩う。
そして光の帯はくるくると中心に巻き付き、一層光を放ち、そして消えた。
光が消えて現れたのは

━━━━━━━━━━━━━━━黄色い着物、その上に白色の生地にうす桃色がグラデーションした被布を来た髪の長い小さな少女だった。