第一話 初めましてじゃない初対面�� ページ19
そして、姿を現した。
さっきとは全然違う姿で。
小さい日本人形だったのに、二回建ての家くらいの大きさになり、表情は先程と同様、醜悪な笑顔。
大きさに比例して、妖力も遥かに強くどす黒い。
猫娘「こいつ、こんな力があったの？」
鬼太郎「いや、ここまでの妖力は……」
そう言いかけた鬼太郎はある一点を見つめた。そこを目で追うと、
さっきまで普通の帯飾りだった花の中心が、人形の顔で埋め尽くされていた。
まな「な、なに、あれ。」
目玉おやじ「この先は廃神社。……あの日本人形、そこに残っていた人形の魂を食らったに違いない。」
まなちゃんの肩に飛び移った目玉おやじはそう言った。
亜久里「それであんな姿に？」
「うふふふふふふふふふふその通りよおお！！！鬼太郎に邪魔されてどうなることかと思ったけど、幸運だったわあああああああ！！この力があれば、お前達なんて容易く葬れる！！！先祖返り、お前はもう不要だわ……。可愛い女の子、これからずっと一緒よおお！！鬼太郎、猫の妖怪、抵抗しなければ命は助けてあげるわ、痛い目は見てもらうけどねええあはははははははははははははははは！！！！」
短い悲鳴をあげるまなちゃんを庇うように立つ。
猫娘「寝言は寝て言いなさい、痛い目見るのはあんたの方よ。」
鬼太郎「日本人形、お前の思い通りにはさせない。」
「ふふふふ、やれるものならやってみろおおおおおお！！！」
そう言って一本一本が太い髪の毛を、一本一本に妖気を纏わせて2人に放った。
猫娘は鋭い爪で切り裂き、鬼太郎は髪の毛針で応戦する。それでも捌ききれず髪の毛は2人を目掛けて攻撃する。2人は躱しながら髪の毛を攻撃していく。
そして、ひと房はまなちゃんを狙って一直線に私たちの方へ。
「おいでえぇぇ可愛い女の子」
鬼太郎「ッまな！」
亜久里「まなちゃん、こっち！」
まな「う、うん！」
まなちゃんの手を引いて走り、髪の毛を避ける。轟音を立てて後ろの壁に髪の毛が突き刺さった。
「先祖返り……目障りねええ、妖怪の力を持っただけの人間の分際で、私の邪魔をするなああああああああああああ！！！！」
壁にめり込んでいた髪の毛が飛び出て再び私達……いや、私に狙いを定めた。まなちゃんには悪いけど、横に強く押し飛ばして私から距離を置かせた。そして、私は反対方向に逃げて陽動する。案の定、追いかけて来た。目の前は壁。行き止まり。振り返ると髪の毛は目前に迫って来た。
当たる寸前に、横に飛んで避ける。
今のうちに先祖返りに━━━━━━━━━━━━━━━
まな「鬼太郎、ねこ姉さん！！」
まなちゃんの悲痛な声。
振り向くと、鬼太郎と猫娘が倒れていた。
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作者名：一ノ瀬花恋 | 作成日時：2023年12月6日 4時
