第一話 初めましてじゃない初対面�� ページ17
今度は怒りが吹き飛ぶ。
何て言った今。先祖返り？
……今更ながら先程の日本人形と鬼太郎の会話を思い出す。「その先祖返りのことか。」と。はっきりそう言った日本人形。
しかし、それに対して鬼太郎は何の返答もしなければ、無反応。日本人形の言葉は彼に関係ない。
何より知っていなければこんな確信を得てるその瞳は絶対出来ないもん。……誤魔化そうとするだけ時間の無駄。
亜久里「……なんだ、知ってたの。」
鬼太郎「最初は知らなかった。君の魂から僅かな妖気を感じて、違和感があっただけだ。」
私の魂から、か。
亜久里「そこから何で先祖返りだと分かったの？」
目玉おやじ「わしが教えたんじゃよ、亜久里ちゃん。」
目玉おやじは鬼太郎の髪の毛から顔を出し、肩に降りた。
━━━━━━━━━━━━━━━少し時を遡り、日本人形と亜久里の妖気を察知し、救出に向かう途中。
鬼太郎「亜久里が先祖返り？」
目玉おやじ「ああ、間違いないじゃろう。」
まな「先祖返りってなんですか？」
猫娘の背中からまなが問う。
目玉おやじ「ご先祖さまが妖怪と交わり、何代も後に妖怪の力をその身に宿して生まれた人間のことじゃよ。」
まな「……亜久里ちゃんがその先祖返り。じゃあ、亜久里ちゃんが妖怪の話をあっさり信じたのは」
猫娘「信じるも何も知っていたからだったのね、妖怪の存在を。先祖返りなら知らないはずがない。」
まな「じゃあ、何で知らないふりをしてたのかな……。」
目玉おやじ「先祖返りだと気付かれない為じゃ。昔から先祖返りは人間からも妖怪からも疎まれ、時に命を狙われることも少なくなかった。そこから先祖返りの一族は表向きに、先祖返りのことや妖怪との関わりを隠すようになったのじゃろう。」
まな「そんな……。鬼太郎とねこ姉さんは先祖返りのことは知っていたの？」
鬼太郎「話は聞いたことがある。でも会ったことはない。……だから亜久里が先祖返りだと気付けなかった。」
猫娘「私もあの子が普通の人間にしか見えなかったわ。」
不思議そうな表情をするまなに目玉おやじが説明する。
目玉おやじ「先祖返りは、通常の見た目は人間だし、ほぼ気配も変わらない。しかし、僅かに特有の気配があるのじゃ。会ったことがあるなら容易に気付く。逆に会ったことがなければ気付けないものなのじゃ。最も、先祖返りもそれを知ってるから妖気を隠そうとしておる。隠すことに長けている者からは、先祖返りの気配を知っていたとしても気付けないこともあるんじゃ。」
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作者名：一ノ瀬花恋 | 作成日時：2023年12月6日 4時
