第一話 初めましてじゃない初対面�� ページ16
亜久里「ッ鬼太郎！？」
鬼太郎「亜久里、無事か！？」
そう問いながらも日本人形の髪の毛を、空中を跳躍しながらするすると避けていく。
亜久里「平気……」
「きええええええええええええええええええ！おのれゲゲゲの鬼太郎、邪魔をするなああああああああああああああああ！！！！！」
先程までの上機嫌な声とは一転した怒号。耳が痛い。
鬼太郎「日本人形、何故彼女を狙う！？」
「彼女……ああその先祖返りのことか？食らって私の糧とし、可愛い女の子を手に入れるためよ！！！お前を消してなああああ！」
髪の毛に込められた妖気が更に増幅され、攻撃しようと
━━━━━━━━━━━━━━━その前に鬼太郎は工場の壁に両足を付けて、日本人形の目の前まで一気に跳ぶ。同時にボレーシュートをするように右足を後ろに、そして
鬼太郎「リモコン下駄！！」
脚力を強化させて、そのまま蹴り飛ばした。
日本人形は悲鳴を上げ、工場の壁ごと後方へと吹き飛んだ。
本当にとんでもないパワーだ。ゼロ距離で彼の妖気を感じて、肌がビリビリする。
そのまま地面に着地し、鬼太郎は私を降ろした。
猫娘「鬼太郎！」
まな「亜久里ちゃん！」
猫娘がまなちゃんを背負って駆けて来た。まなちゃんは猫娘の背中から降りて、私に勢いよく抱き着く。倒れそうにはならない、鍛えられたから。
まな「亜久里ちゃん！無事でよかった！」
亜久里「まなちゃん、猫娘さん。それに鬼太郎助けてくれ
鬼太郎「何を考えている？」
圧。呼吸が苦しいまでの圧、妖怪の圧。こんなの向けられたの……
鬼太郎「次は命の保証が出来ない、そう言ったはずだ。現に今死にかけた。亜久里……」
そう言いながらゆっくり私の目の前まで歩いて来た。そして立ち止まり
鬼太郎「死にたいのか？」
死にたいのかって……
亜久里「そんなわけない。」
鬼太郎「同じことだ。」
亜久里「違うの。」
鬼太郎「僕が助けなければ死んでいた。……無鉄砲で命知らずにも程があるぞ。」
無鉄砲……命知らず……？
脳裏で記憶が駆け抜けそして
助けてもらったことの恩とか申し訳ないとかそう思われても仕方ない誤解を解こうという思考が一気に吹き飛んで、心の底からじわりじわりと怒りが滲み出す。
亜久里「馬鹿にしないでそんな妖怪が相手だったら1人で戦おうとしない。」
鬼太郎「戦う？どうやって？」
口走ったと気付いたのは鬼太郎の言葉を聞いてから。僅かに焦るが、怒りの方が強い。感情のままに言葉を紡ごうとした瞬間、
鬼太郎「妖怪の先祖返りの力でか？」
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作者名：一ノ瀬花恋 | 作成日時：2023年12月6日 4時
