たそかれ娘の青春【ゲゲゲの鬼太郎(第6作)】 (ページ15)

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第一話初めましてじゃない初対面⑭ ページ15

廃工場に入る。素早く物陰に身を潜め、気配を消す。

「うふふふふふふふふふふふふふふふふふふ。」

あの甲高くて気味の悪い笑い声、そしてどす黒い妖気。一気に膨れ上がる。

「ここにいるのは分かっているわ、妖怪の先祖返り。大人しく姿を見せれば酷くしないわ。お前は可愛い子を確実に手に入れる為の養分となるのよ。」

執着相手はまなちゃんのまま。
尚更、ここで退治しなければ。

「うんと痛い思いをさせてしまうけどしょうがないわよねえ……。」

私を弄んでいるつもりだ。でも正確な位置が分からないから、余計に脅している。

油断している。侮っている。私を弱者だと。自分が蹂躙する側だと。一切疑っていない。

なんて好都合なの。隙がみえみえ。手間が省けた。そこに付け込ませてもらう。
私は一切の気配を絶ったまま、先祖返りの、妖怪の力を解放させようとして

ブーブーブー
スマホのバイブ音が響いた。
着信相手は、まなちゃん。
すぐに切る。

「みーつけた」

耳の側から気味の悪い上機嫌な声。

鬼太郎と猫娘は住宅街の屋根を足場にして、空中を飛びながら廃工場まで全速力で進む。

まな「だめ、切られた。」

猫娘におぶられたまなはスマホをしまう。

猫娘「鬼太郎。」

鬼太郎「あの日本人形の妖気が膨れ上がった。そこに亜久里もいる。」

まな「亜久里ちゃん……！」

鬼太郎「先に行く！」

鬼太郎は更にスピードを上げて廃工場まで疾走していった。

間一髪、日本人形の髪の毛を避けて素早く距離を取る。

「以外にすばしっこいのねえ、さっきも私の髪の毛を避けられてしまったもの。……でもその程度、子供騙しもいいところよ……あははははははははははははははははははははははは！！！！！」

先程のように髪の毛を縄のように伸ばし、うねらせる。しかし、先程は能面のような表情だったが、今は醜悪な笑みに変わっている。人形らしさを感じない表情の動き。
本性を出したか。

一瞬、隙を見せてしまうけど背に腹はかかえられない。妖怪に変身する。そうすれば、最悪ダメージを食らっても耐えられる。

一瞬にも満たない中で判断し、妖怪への変身を……

「させないわああああああああああああああああ！」

勘づいた刹那、蛇のようにうねらせて来た。まずい、間に合わな
「髪の毛針！！！」

その声と同時に蛇のような髪の毛が魂を吸い取られたように地面に落ちる。

しかし、あの日本人形はすぐさま私に向かって髪の毛を伸ばして来た。

避けようと体を動かす前に、体が空中へ。背中と太ももの裏を支えられる感触を感じ、横抱きされたと認識したのはその後だった。