第一話 初めましてじゃない初対面�� ページ14
目玉おやじ「妖気か……。」
鬼太郎は相槌に頷いて続ける。
鬼太郎「悪い妖気ではありませんでしたが。むしろ善と呼ばれる部類のもの。あの日本人形の妖怪との繋がりはないと断定出来ます。でも確かにある。妖怪と関わった程度でつく妖気ではなく、あの子の中心、魂から発生している妖気が。……妖怪ではないのに。」
目玉おやじも鬼太郎の話に頷いて言葉を返す。
目玉おやじ「……そうか。きっとそれは間違いはないだろう。実は日本人形が姿を見せた時、お前のアンテナが反応したのとほぼ同時にあの子も気配を感じ取っていたのじゃ。1度姿を消してから現れるまで、お前と猫娘よりも早くに日本人形の場所に気付いていたからなぁ。」
鬼太郎「なるほど……だから地面から突然出て来た髪の毛を避け、まなを助けられたんですね。」
目玉おやじ「その通りじゃ。鬼太郎、わしはあの子の正体の検討がついておる。」
鬼太郎「本当ですか父さん。亜久里は何者……ッ。」
トンっとぶつかる。話に夢中になっていた鬼太郎は、気付かなかった。猫娘がただ一点を見つめて立ち止まったことに。
鬼太郎「猫娘、すまない。どうしたんだ？」
猫娘「……まな。あの子の苗字って鶴代、だったわよね。」
まな「うん、そうだよ。鶴代亜久里ちゃん。」
猫娘は日本奥座敷風の家、その表札を指さして
猫娘「この家、鶴代よ。」
まな「ええ！？」
鬼太郎「なっ……。」
猫娘「そんな一般的な苗字じゃないわよね。」
まな「うん。私今まで見たことも聞いたことも亜久里ちゃんだけ。」
目玉おやじ「亜久里ちゃんの家と見て間違いないじゃろう。じゃが何故？聞き分けの悪い子には見えなかったが……」
瞬間、鬼太郎の妖怪アンテナが反応した。
猫娘「鬼太郎！あいつね！？」
鬼太郎「ああ、呪いの日本人形の妖気だ。」
まな「どこにいるの！？」
鬼太郎「ここにはいない。ここから離れた場所、あそこの廃工場のあたりだ。」
そう言って指さした方角は
猫娘「亜久里が帰るって言った方じゃない！」
まな「亜久里ちゃん、巻き込まれてないかな？」
焦る様子の猫娘と心配するまなに鬼太郎は
鬼太郎「同じ場所から……
亜久里の妖気を感じる。」
淡々と事実を告げた。
私は足早に住宅街を走り抜ける。大丈夫。まだ出て来ない。きっと鬼太郎達を警戒してるんだ。無鉄砲な相手じゃない。でも油断しなければ私1人でカタをつけられる。
行く場所は決まってる。周りに人気も住宅もない、あの廃工場。もう少しでつく。そこまで誘い込めれば、誰も巻き込まない。
「うふふふふふふふふふふふふふ。逃がさない。まずはお前よ、先祖返り。」
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作者名：一ノ瀬花恋 | 作成日時：2023年12月6日 4時
