第一話 初めましてじゃない初対面�� ページ2
見えてる世界が全てじゃない。見えないものもいる。
……みたいなオカルトチックな言葉を科学が発展したこの世の中で、信じる人間なんて何人いるのだろうか。
え、私？私は信じる。信じるとは少し違うけど知っているから。発展した世の中で存在するわけないと否定されている妖怪が、存在していることを知っているから。そしてその妖怪の力を、私は受け継いでいるから。身をもって妖怪を見て識って感じて、その力を使って、妖怪と関わっているから。
だからこの広い世界に、どんな存在がいたとしても驚かない
━━━━━━━━━━━━━━━はずだった。
キーンコーンカーンコーン。
授業終了のチャイムが鳴る。やっと6時間目の授業が終わり、木曜日の学校が終わった。あと1日。明日の金曜日を乗り越えれば2日間の休みが待っている。いつもと変わらない日常だ。
さーちゃん「亜久里ー、帰ろー！」
亜久里「うん、帰ろ帰ろ。」
クラスで仲良しの友達、さーちゃんと教室を出ようとすると、
まな「亜久里ちゃん、さーちゃん。」
声を掛けられた。茶色の髪をサイドに束ねた快活な女の子、犬山まなちゃん。
まな「急なお誘いなんだけど、これからカラオケに行くんだけど一緒にどう？」
さーちゃん「いいねー！行きたい！」
さーちゃんはのりのりだ。魅力的な誘いではあるが……
亜久里「誘ってくれてありがとう。でもごめんね。今日は予定があるから行けないの。」
本当だ、今日は約束がある。少し申し訳なさ気な表情と仕草で伝えた。いや、実際誘ってくれたから申し訳なくはあるから偽ってるわけじゃないけども。
まな「そんな、全然大丈夫だよ！私こそ急に誘っちゃってごめんね。また今度行こう。」
亜久里「うん、ありがとう。それじゃあ、さーちゃん、まなちゃん、また明日ね。」
さーちゃん「ばいばーい！」
まな「またね、亜久里ちゃん！」
互いに手を振り合って教室を出る。
急とはいえ誘いを断ったから、言動と仕草とかは気を付けた。でも他の女子だったらもう少し言葉の裏側を汲み取ろうとしたりするけど、まなちゃんは大丈夫な気がしてる。彼女とは仲がいいわけじゃないけど、それが何故なのか、自分でもよく分かってない。勘とか第六感？というよりも感覚としては、知ってるに近いような……。いやいや、そんな知らないでしょ。
時折、こういった既視感がある。初めて見たもの、聞いたこと、学んだことを、知っていた、あるいは思い出したと感じることが。
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作者名：一ノ瀬花恋 | 作成日時：2023年12月6日 4時
