第24話 シトリンの足跡3 ページ26
男が出ていった後、安室は梓から事の顛末を聞いた。あの男が響をナンパして庇った流花を貶し、それを見て助けようとした少年探偵団を襲いかけ流花に止められたという。
彼女が謝ってきた気持ちは理解できる。だがあそこまで負い目を感じなくてもいいだろう。
コナン「お姉さんは怖くなかったの?殴られそうになってたけど」
流花「別に?あんな小物怖くないよ」
少年探偵団にお礼を言われた後の2人の会話。強がりでもコナン達への気遣いでもないただの事実を述べた流花。それにコナンも気付き苦笑いを浮かべている。
席に戻った流花は落ちていたメモ帳を拾う。様子から見ると流花や響のものではない。自分がフロアから出る前になかったからあの男の物かもしれない。メモ帳を見た流花が目を見開き危険を感じた表情を浮かべる。しくじったと言いたげだ。
安室(彼女にとって不都合なこと.....僕の考えが合っていればあの男の犯罪を裏付けるものか。分かりやすい人でよかった。)
安室は流花に声を掛ける、心配する表情を作り甘い声を心に響く音調で。彼女を懐柔して情報を引き出すため。確信に近い自信があった、流花は自分に惚れていると形容できるような感情を向けているのだから。そして安室の思惑通り流花は────
流花「.....いいえ。」
彼に心を開くことはなかった。流花は微笑む。
流花「本当に大丈夫です。店員さん、心配して下さってありがとうございます。」
その笑みは流花が安室に見せてきた蕩けるような笑みとも響やコナン達に見せていた爛漫な笑みとも違う、一線を画すもの。感情がない笑み、安室の厚意という名の詮索を拒絶する笑みだった。流花を輝かせていた光は消え去り面影すらない。しかしそれでも彼女は────。
僅かな動揺の隙をつかれて、と言いたくなるタイミングで流花は震えている響を連れて安室の横を通り過ぎ、会計を済ませ逃げるようにポアロを出た。出る直前に謝罪をした彼女に店員としての定型文を言う。
コナン「ねえ安室さん。何か気にならない?」
安室「うん、僕も少し気になってるんだ。あの男性のこと。」
あえてコナンの質問とは別の返答をした。コナンも気付いた上でその話しに乗る。わざとらしい笑みを浮かべて。
コナン「僕もだよ、田荷下さん怪しいよね。あ
、さっきの男の人は田荷下友久って名前なんだって。あのお姉さん達に連続切り裂き事件の話しをしてたんだけど.....。」
コナンからあの男が話した内容、様子を聞いて確信した。
連続切り裂き事件の犯人は田荷下友久だと。
メモ帳の内容、そして流花の意図を。
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未来ーミクー(プロフ) - 面白かったです!最初は「読みにくっ」と思いましたが内容は素晴らしかったです!!この調子で更新頑張って下さい。続き待ってます (2020年1月17日 16時) (レス) id: 6e3b9846a0 (このIDを非表示/違反報告)
一ノ瀬花恋(プロフ) - さちさん» めっちゃ嬉しい、読んでくださってありがとうございます!楽しんでいただけて何よりです。更新なるべく早くできるように頑張ります! (2019年10月26日 21時) (レス) id: 8df8383c0e (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろいです。続きが楽しみです。よろしくお願いします。 (2019年10月26日 20時) (レス) id: 5f335610e5 (このIDを非表示/違反報告)
一ノ瀬花恋(プロフ) - まさるさん» ご指摘ありがとうございます<(_ _)>修正しました! (2019年8月20日 22時) (レス) id: 8df8383c0e (このIDを非表示/違反報告)
まさる - 毛利探偵事務所の住所は、東京都米花市米花町です。東都などという地名はありません。 (2019年8月20日 13時) (レス) id: 7e2c3c7e2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:一ノ瀬花恋 | 作成日時:2019年8月17日 5時