【名探偵コナン】トリップ娘は推しキャラの顔見知りを目指す【安室透/降谷零】

第22話 シトリンの足跡1 ページ24

緋色シリーズ。杯戸小学校での事件、そして赤井秀一の生存が確固となり本人を巡る一連の騒動の後日。
降谷零は安室透として喫茶ポアロのバイトに従事していた。赤井秀一への恨みを抱きつつ表情に笑みを浮かべ接客しているとドアのベルが鳴り2人の女性が店に入った。1人は胸下まで伸びた黒髪に強気な印象を受ける美人、もう1人は少し暗めの茶髪で肩にかかるかからないくらいの.....良くも悪くもこれといった印象がない女性だった。2人とも20〜23歳といったところか。黒髪の女性はアイドルを見るかのような表情をしているが茶髪の女性には真顔で穴が空くほど見つめられた。安室は少し不審に思いつつ話しかけると徐々に固まった彼女の表情がほどけていく。「こちらへどうぞ。」と言い笑ってみせるときらきらと瞳を輝かせ幸せに満ち溢れた笑顔を浮かべ砂糖より甘い声で返事をされた。

安室(何だその恋焦がれた相手と再会したような態度は。)

安室は若干、いやかなり引いた。この無駄に整った容姿でちやほやされるのは自覚済みでそれを武器にすることもあるが初対面でこんな素振りを見せられたこと彼は初めてだった。幸せ、嬉しさ、喜び等のあらゆる感情が彼女からこぼれ出ているのが分かる。何とも言い難い複雑な気分で彼女達を席に案内し離れると小声で楽しそうに話し出すのが彼の耳に届いた。かっこいいだのハーフだの。

？？「綺麗な髪色だよね、目も青っぽくてすごく綺麗。あと声も綺麗だったなぁ。もう流花あの店員さん自体が宝石みたいにキラキラして見える。」

あの茶髪の女性は流花というらしい。目と頭は大丈夫かと聞きたくなる。

安室(宝石みたい、か。それは君の方だよ。)

彼女の身の内からこぼれた感情は、淡いが清らかな輝きを散りばめて彼女を煌めかせる。そんな光を放つ流花を彼は不覚にも綺麗だと思った。その原因が自分だと分かっている安室は鬱陶しさと少しくすぐったいような心地よさを感じる。
そんな流花にそして自分にも盛大に呆れつつ安室は仕事に意識を戻した。

流花達から注文を受け、江戸川コナンと互いにしか分からない言葉を交わし、来店した少年探偵団とコナンを接客して仕事をこなす。彼女達から度々視線を感じるが流花の視線はすぐに分かる。

彼女達の注文された料理を持って行くと流花は机を見つめ何やら葛藤している。と思うと振りきった顔をして流花は顔を上げた。目が合った瞬間に焦りの色が広がる彼女に安室が笑いかけると複雑な表情をされ、

安室(さっきまでの蕩けた笑みはどこにいった？)

と突っ込みたくなった。それほどの落差だった。

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