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翌日、まだ優太くんに会う時間まで何時間もあるというのに
口から心臓が出そうなほどすでに緊張してしまっている。
そんな気持ちをごまかすように仕事に没頭していると、式の相談に来たお客様がいるということでフロアに足を運んだ。
『いらっしゃいませ。結婚式のご相談ですね、』
テーブルにいたカップルに話しかけると、パンフレットを見ていた女性が顔をあげた。
「そうなんです!って、……あ!!」
『…えっっ……』
声を上げたのはほぼ同時だった。
私の目の前にいるのは、ずっと頭から離れなかった、和花さんだった。
「Aちゃん、だよね?わ〜ここで働いてるんだ!!偶然!!」
『そう、です。えっと、おふたり…』
「あ、そうそう!もうすぐ結婚するんだ!私たち」
同窓会のときには見なかった、和花さんの婚約者。
婚約しているのに、優太くんと?
なんて、私の勘違いかもしれないのに
ひどい被害妄想が私の頭を混乱させる。
知り合い?と、婚約者の男性に聞かれた和花さんは、うんっ、と可愛らしく頷く。
「高校の同級生の彼女さん!この前、同窓会行ったときに会ったんだよね!Aちゃんいるならここの式場にしようかな!チャペルとかすごい綺麗だしっ」
目を見合わせたふたりは、すごく幸せそうで。
本当に私の思い違いなのかもって思えてくる。
ちゃんと話したのは初めてなのに、スルッと懐に入り込んでくる和花さんは
可愛くて、すごく良い人で、私の変な考えが、とても申し訳なくなるくらい。
ひととおり説明を終えると、またパンフレットを食い入るように見つめていた和花さんに
婚約者の男性は、トイレに行ってくる、と席を外した。
「すっごい実感湧いてきた!結婚するんだな〜って笑」
『おめでとうございます。和花さんと彼、すごく幸せそう』
「さん付けとかしないでいいよ〜!うん、ありがとう!!
ってか、まさか優太にAちゃんみたいな可愛い彼女いるとは思わなかった!」
『そっそんなことないよ…』
和花ちゃんの“優太”呼びにいちいち傷ついてもしかたないのに。
卒アルを見たとき、優太くんは和花ちゃんの名前を忘れちゃってたくらいだったから、関わりがあまりなかったんだと思ってたけど
ちゃんとふたり、仲良かったんじゃないかって思えてくる。
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hinata(プロフ) - すかいさん» お読みいただきありがとうございます!岸くんのお世話係ですのほうでもコメントくださって、とても感激しております…! 更新は停滞しておりますが、他作品でも機会があればよろしくお願いいたします! (2020年3月14日 11時) (レス) id: ef05115d0f (このIDを非表示/違反報告)
すかい - コメント失礼します!とても素敵な作品で、読んでいた幸せな気持ちになりました。ありがとうございました^ - ^ (2020年3月14日 2時) (レス) id: c9cd880fe4 (このIDを非表示/違反報告)
hinata(プロフ) - ぷーちゃんさん» はじめまして!うわぁありがとうございますっ!!読んでいただいてる人が情景を浮かべられるように書くのを心がけていたので、そう言っていただけると嬉しいです(T^T)最後までありがとうございました!! (2019年8月25日 2時) (レス) id: 3e3d9afca9 (このIDを非表示/違反報告)
ぷーちゃん(プロフ) - 初めまして、岸くんも廉くんもかっこよすぎて平野担なのに恋しそうでした‥笑 とても読みやすく背景が想像出来るような内容でとても楽しかったです!! (2019年8月21日 18時) (レス) id: f5805a4cc2 (このIDを非表示/違反報告)
hinata(プロフ) - ゆかさん» ありがとうございます(T^T) 私の作品が好きだと言っていただけることが何より嬉しいです!!新作ができた時には、またぜひよろしくお願いします!! (2019年8月11日 0時) (レス) id: e06037eac2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:hinata | 作成日時:2019年4月22日 17時