30 ページ30
.
『……重い、から』
離れたと思えば、両手を顔の横に置かれ、まだ逃げ場はない。
真正面に見える岸さんの瞳はまっすぐに私の目をとらえていた。
.
「……俺、…Aのこと、どんどん好きになってくんだけど…自分でもビビるくらい。
…だから、ちょっと覚悟しててほしい。
……たぶん、俺、我慢とか、できなくなる」
『………』
ギシ、とベッドから立ち上がった岸さんは背を向けて私から離れていく。
扉の前まで行くと、振り向いて、さっきとは打って変わって明るい表情の岸さんと目が合った。
「朝ご飯は食べてくっしょ?俺に任せて!」
『……あ、…うん。あ、ありがとう』
ニコッと笑った岸さんは部屋を出ていく。
誰もいない扉を見つめながら、さっきの言葉で頭の中が埋め尽くされる。
ドキドキがおさまるまで放心状態になっていた。
.
リビングへ行くと、岸さんがキッチンで鼻歌を歌いながら料理をしていた。
「おっA、もうちょっとだから待ってて」
『あ…うん。…顔洗ってきてもいい?』
「おう!」
さっきのことなんて何もなかったかのように、いつも通り。
私は岸さんに振り回されっぱなしだ。
だけど、敬語が外れたことで、かなり近く感じる距離感が
少し嬉しいと思ってしまっている。
岸さんは、すでに私の名前を呼び捨てにするのに慣れたようで、
ただ苗字を名前に変えるだけなのに、恥ずかしくて抵抗してしまう私は、思春期の学生みたいだ。
洗面所で顔を洗って、ささっとメイクを済ませる。
リビングへ戻ると、岸さんがキッチンからお皿をテーブルに運んでいた。
「ちょうどできたよ!食おうぜ!」
『おいしそ〜!ありがと!!』
テーブルに並べられたのは、トーストとアスパラのベーコン巻きとスクランブルエッグ。
前にスーパーで会ったときに、料理のレパートリーがない、なんて言ってたけど、ちゃんと綺麗な見た目で普段から料理をしていることがうかがえる。
いただきます、とふたり並んで手を合わせる。
心配そうに岸さんに見つめられながら、ひとくち。
『んっ!うま!!』
「マジで?よかった〜!」
安心したのか、ぱくぱく食べ始める岸さん。
寝癖はまだついたままで、それを見たら、今朝の慌てた姿が目に浮かんで思わず笑ってしまった。
.
1677人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
hinata(プロフ) - みずきさん» 岸くんらしさを意識して書いていたので、そう言っていただけると、とっても嬉しい(>_<)!ありがとうございます!! (2019年4月14日 0時) (レス) id: e7607b97b4 (このIDを非表示/違反報告)
みずき(プロフ) - 岸くんが岸くんすぎて!!!好きです (2019年4月13日 23時) (レス) id: 8a2a6974ea (このIDを非表示/違反報告)
hinata(プロフ) - Sさん» 私ももう少し続けたいなと思ってます!大好きなんて嬉しすぎます!!ありがとうございますっ(T-T) (2019年4月11日 0時) (レス) id: e9f610ebf6 (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - もうちょっとで終わってしまいますか?(;_;)このお話大好きなので寂しいです、、、。廉くんにも岸くんにも頑張って欲しいです。 (2019年4月10日 17時) (レス) id: 123949a422 (このIDを非表示/違反報告)
hinata(プロフ) - ひかるさん» やっぱり(> <)!イケメンにそれやられたらやばいです!笑 (2019年4月10日 17時) (レス) id: e9f610ebf6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:hinata | 作成日時:2019年3月29日 20時