14 ページ14
.
「俺も家近くなんでたまにこのスーパー来るんすけど、Aさんがあんまり来ないから今まで会わなかったんすかね〜」
『知り合いじゃないと、すれ違っててもわからないですから』
「いや、俺は気付きますよ！だって実際一目惚れだし」
クシャッと笑いかける岸さんにドキッと胸が高鳴る。
さっきから、私はおかしい。
『……冗談はやめてほしいです』
素直にそう言えば、岸さんは驚いた顔をする。
「冗談、に聞こえてたんすか？…あれ、めちゃくちゃ本気です」
本気、と本人の口から言われれば、当たり前のように緊張してしまう。
そんな私に追い打ちをかけるように岸さんは言葉を続けた。
「俺、マジで本気っすから。…だから、連絡とかも取れればいいなとか、…なんならこれからも会いたいし。…Aさんのこと、いっぱい知りたいです」
立ち止まって私に体ごと向けて真剣に言うから、
もう冗談には聞こえなくて。
「あの、……連絡先、交換してもらえませんか？」
『……はい』
迷うことなく返事ができてしまっていた。
岸さんはさっきの真剣な顔なんてどこにいったのかと思うほど、思いっきりクシャッと笑った顔になる。
携帯を取り出して差し出す岸さんと同じように私も携帯を取り出してQRコードを読み込む。
画面に出た“岸優太”という名前に少し顔がほころんだ。
「やべ〜〜！！超嬉しい！」
素直に感情を出す岸さんが尻尾を振る犬のように見えて可愛く思ってしまう。
そんな岸さんが今度は、
「うざがられないくらいに連絡します、頑張ります」
と、尻尾と耳を下げたように言った。
その想像ができてしまうから、面白くて吹き出してしまった。
「え、なんで笑うんですか！」
『いや笑…犬っぽいなって思って笑』
そう言う私に首をかしげて、俺、犬かな〜？なんて真剣に悩んでいた。
結局家の前まで荷物を運ばせてしまった。
帰り道は、話すと楽しくてあっという間に時間が過ぎていっていた。
『ほんとにありがとうございました。すみません、わざわざ家まで』
「いやいや！俺がしたかったことなんで！じゃ、また！」
荷物を受け取ると、キラキラな笑顔で、もと来た道を戻っていった。
見送っていると、途中、振り向いて手を振ってくれる。
そんな彼に、また、があればいいなと思ってしまっていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1677人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「永瀬廉」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
hinata(プロフ) - みずきさん» 岸くんらしさを意識して書いていたので、そう言っていただけると、とっても嬉しい(>_<)！ありがとうございます！！ (2019年4月14日 0時) (
レス) id: e7607b97b4 (このIDを非表示/違反報告)
みずき(プロフ) - 岸くんが岸くんすぎて！！！好きです (2019年4月13日 23時) (レス) id: 8a2a6974ea (このIDを非表示/違反報告)
hinata(プロフ) - Ｓさん» 私ももう少し続けたいなと思ってます！大好きなんて嬉しすぎます！！ありがとうございますっ(T-T) (2019年4月11日 0時) (レス) id: e9f610ebf6 (このIDを非表示/違反報告)
Ｓ(プロフ) - もうちょっとで終わってしまいますか？（；＿；）このお話大好きなので寂しいです、、、。廉くんにも岸くんにも頑張って欲しいです。 (2019年4月10日 17時) (レス) id: 123949a422 (このIDを非表示/違反報告)
hinata(プロフ) - ひかるさん» やっぱり(> <)！イケメンにそれやられたらやばいです！笑 (2019年4月10日 17時) (レス) id: e9f610ebf6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：hinata
| 作成日時：2019年3月29日 20時
