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「ん……あれ、どこ、ここ……?」
ㅤ目の前に映るのは、白い天井と私をとりかこむかのようにある、管。多分点滴。
同時にまだ少し痛む頭。
おそらくここは病院なんだろう。
輝の家で倒れたんだっけ……
迷惑かけたなぁ……
ふと、右手がとても暖かく、今の自分では抜けられないほど握られていることに気づいた。
寝てるのかな……
私が起きても気づかないなんて。
「輝……起きて、輝」
「ん……A……?起きた、の……?……よかった」
「わっ……」
「あ、ごめん!嫌だった?つい…」
かばっ、と抱きつかれ、あわててナースコールを押す輝の頬には、いくつもの涙の痕。
「ううん、嫌じゃないよ。輝、側に居てくれてありがとう……」
「良かった……そばに居るのは当たり前だよ。俺らは、幼馴染で相棒なんだから。今まで数え切れない程助けてもらってきたし……」
「ふふ、そっか。ありがと」
パタパタとかけてくる看護師さんの後の窓から見えた外はすっかり真っ黒に染まって夜ということが分かった。
「ねぇ、輝。今何時?」
「21時……12時間も寝てるよ……寝すぎ……」
朝の9時頃だったからそんなに寝てたのか。
いや、意識を失っていたの方が正しいかな?
「ごめんね……この事、まふには?」
「言ってない。でもさっきから俺のスマホも、Aのスマホも鳴り止まないから心配してるんだと思う」
有り難い。
普段から私が“まふには迷惑かけたくない”が口癖なほど連発してるからかな。
もちろんこんなことを言えるのは輝の前だけだけれど。
というか、
「スマホ、鳴ってないじゃん」
「煩すぎるし出る気力なかったからマナーモードにしてみた」
「ははっ、なんだそりゃ!」
笑える、笑えるよ?私。
苦しいのが嘘だったみたいに、笑えた。
頭も気づいたら痛くなくて。
輝の魔法かな、なんて。
それでも左手の腕に点滴がぶっ刺されたところから、ほんの少しだけ痛んだ。
まるでこれが夢ではないよと、語る様に。
ほらね。
やっぱり現実は厳しいらしい。
お医者さんの口から紡がれた音は、私達に絶望をもらたす……人生で最低最悪のことだったのだから。
『このまま行けば、貴女の命は
“残り3ヶ月”しか
もたないでしょう』
その言葉は、あまりにも残酷で、無慈悲で。
私達の頭の中を黒で塗り潰すには十分すぎることばだった。
ねぇ神様、私、何か悪いことしましたか?
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野良神 - 凄いですね。面白いです!更新頑張ってください! (2018年11月6日 18時) (レス) id: d6c3f54fc0 (このIDを非表示/違反報告)
桜瀬さわ@“自称”大天使さわさァん(プロフ) - あいらさん» ありがとうございます;;最近更新疎かになってるのにコメント貰えてとてもびっくりしてます!(一時期消すことも考えてました)その言葉でもうちょっと頑張る気が起きました!諸事情で次回の更新まで時間がかかるかもしれませんが続編に向かい頑張ります。 (2018年9月10日 19時) (レス) id: c9f142c710 (このIDを非表示/違反報告)
あいら - 初コメ失礼致します! 僕シリアス大好きでして…この作品大好きです!描写もとても好きです これからも頑張ってください! (2018年9月10日 13時) (レス) id: 556c8a168b (このIDを非表示/違反報告)
桜瀬さわ@“自称”大天使さわさァん(プロフ) - りょうかさん» この作品、描写に力をいれてるのでとてもとても嬉しいです!ありがとうございます! (2018年1月8日 10時) (レス) id: c9f142c710 (このIDを非表示/違反報告)
りょうか - すごく描写がきれいに書けていて、すごいなと思いました!更新頑張ってください! (2018年1月7日 6時) (レス) id: a812e7560b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜瀬さわ | 作成日時:2017年9月9日 9時