【まふまふ】タイムリミットまで【歌い手】

#22 ページ23

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「おまたせー」


「そんな待ってないよ」


ㅤ声をかけると、ぱっとスマホを見ていた顔を上げてゆっくり微笑む輝。


さぞかしモテるであろう。


そこは幼馴染である私のお墨付きだ。



「あはは、迎えに来てくれてありがと」


「こうやって2人でゆっくり歩くのもええかなっと思ったから大丈夫」



エントランスを抜けて、カラオケまで歩く。


「ん？」


少しすると差し出された手。


訳も分からず顔を見上げると



「いや、手でも繋いだ方がそれっぽいやろ」



顔をくしゃっとして笑った輝に、思わず苦笑した。



「なるほど。でもこっちのほうがよりそれっぽくない？」


ㅤ差し出された手をとって自分の腕に巻き付ける。所謂腕くみ。



ㅤ大きな目を少し見開いて驚いているようすに自然と自分の顔に笑みが満ち溢れてくるのがわかった。


「ふふふふ」


「びっくりするやろ！？いきなりやられるとぉー」



笑わんといてやぁってじゃれあいながら歩く。


さっきまであんなに考え込んでいたのが嘘のように息がしやすい。



輝は魔法でも使えるのかな。



じーっと輝の顔を見つめていると少し不安がりだした。


「え、なんか顔についとる？」


「青海苔……」


「え！？うそもっと早く言うてや！！」



ㅤ呟くようにそうこぼすと、慌てて携帯のカメラを起動して確認する。



「え、どこについとる？？わからんのやけど」



ㅤいーってして慌てて探す姿に堪えきれなくなって吹き出す。



「あはは！！ついてないもん当たり前だよねー」


「ちょっとAー？！」


「きゃーっ」



腕を離して丁度見えてきたカラオケに逃げ込む。



ㅤあははは、なんて2人して笑ってるのにすこし泣きそうになった。

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