【まふまふ】タイムリミットまで【歌い手】

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｢ねぇ、姉ちゃんはあの夢、見たらどうしてる？｣


｢今まではね、泣き疲れて寝ちゃうまで泣いてたよ｣


「今まで？」


「今は真冬と住んでるからねー、泣いちゃうとめっちゃ心配されるし輝に電話かけて落ち着くかな」


「あ、真冬さん、知らないんだっけ」


納得したような声音で返してくる。


「多分“さと”のことも知らないよ？弟がいるとは言ってるけど」

そう笑った。



「いーよその方が都合いい」


「俺も歌い手仲間の誰にも言ってない。流石に姉がいるとは言ってるけど」


「え、メンバーにも？」

「メンバーにも！」


流石にメンバーには言ってると思ったんだけど、と笑う。


「いや姉ちゃんも真冬さんに言ってないのは流石に笑うわ」


「そりゃ笑うな」


「だろ？」



そこでひとしきり笑ったあと、落ち着いた？と声をかけた。



「ん、落ち着いた。ごめんね」



いつもの声で落ち着いたことが確認出来たし、一安心。



「ええよ、何時でもかけてきな」



私が生きてる間なら、そう心の中で付け足した。


そんなことを知る由もないこの子はおちゃらけていつものように笑う。


「え？じゃあ毎日この時間にかけるわ」

「それはただの迷惑」


そこでまた二人同時に笑い出した。


笑いが収まったあと、
「はー、おやすみ」


「ちょっとなんで無駄にイケボなの？｣
面白くてまた2人で笑った。


さとは、人を笑わせるのが得意だと思う。


きっとそこも歌い手の活動の中で強みになってるんだろうな。


「まぁいいや、おやすみ」

「はーい」


ぶつり、と切れた電話。


この電話をしている間に気付けば痛みは無くなっていた。




助けられたのは、私もだった。

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