【まふまふ】タイムリミットまで【歌い手】

#18 ページ19

「もしもし？」

「ねえちゃ、ごめｯ......」



嗚咽が聞こえてきて、精神が不安定だったのかな、なんて考えた。


あの夢を見たとしても、普段のこの子ならこうはならないはず。



「ゆめ、見たんでしょ」



「うんｯ......飛び起きたんだけどその後、凄く胸騒ぎがして、しんどくなってｯ......でも我慢してたんだけど！」



「大丈夫だよ、ちょっと深呼吸しようか。その後ゆっくり話して？」



不安定になっている呼吸に、別の意味で胸が痛い。

嗚呼、ごめんね。

苦しませてたいわけじゃない。

出来たなら真冬にするように、私が嫌いになるように仕向けたらこの子は楽になれただろうか。



何度か繰り返される深呼吸。

その間に自室に戻ると、返事が返ってきた。



「ごめん、落ち着いた」


「ん、続き話して？」



できるだけ不安を持たせないように。

最大限の優しい声を出したつもり。



「姉ちゃんと輝兄の歌聞いて、ちょっとでも落ち着こうと思ったら涙止まんなくなって、どうしようもなくて」


「うん」


「気づいたら、LINE送って既読ついた瞬間電話かけてた。ごめん、起こしたよね」


「さっき起きちゃってたから大丈夫だから心配しなくていいよ」



さっきまで寝てたベットに腰掛けた。


なにか喋らなきゃ。


そういう思いで話題を探す。


今は辛いことを思い出すよりも、楽しい話題を。


そう考え、口を開こうとした瞬間。


遠慮がちだけど、ハッキリとした口調で聞いてきた。

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