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………Aちゃんだ。正真正銘、俺が知っているAちゃんだ。
まさかね、こんなところで会うなんてね。
そんな俺の心情も掻っ攫うようにAちゃんはビクッと肩を浮かせて振り返るとびっくり仰天していた。
俺でもそうなる。
「………っえ？？？！！え？え？」
紫「どーも、こんばんは」
「え？！」
紫「お疲れ様、仕事帰り？」
「え、はい、……あ、そう。え、何やってんの？！」
海「ははは笑 めちゃくちゃびっくりしてんね笑」
「え、ちょっとまって、やばい。本物ですか？」
紫「あ、一応本物です笑」
海「でーす！」
最初の頃とは比べ物にならないほど俺らのことを認識してくれている。
素直にうれしいな、こんな反応をもらえて。
冷静に今、俺、バカ心臓ドキドキしてんだけどね。
反対に、初対面のくせに妙に意気投合しちゃってベラベラ喋っている海人。
２人が同じ地元だっていうことはだいぶ前から知っていたし、
湘南に来れば、あわよくばね、もしかしたらね、会えるかも、なんてほんのちょっとだけ思っていたときもある。
それがこんな簡単に訪れるなんてさ、ある意味、いや、普通に海人に感謝なんだけども。
＿＿＿
「いい子そうだね！紫耀って感じ！」
「はぁ？」
「なんか紫耀が気になってるって理由がなんとなく分かった気がする」
「あの一瞬で？」
「とにかくいい子そう。大事にしたいタイプ」
そうそう、分かってんじゃん。大事にしたくなるんだよ。
……つって、何言ってんの俺。
てか、おまえさぁ、、
「なんだよそれ」
「いやいや言葉の綾だから！笑 ねえまだ怒ってんの？ごめんね？」
「怒ってねえよ」
" 俺、嫉妬深いの、いろいろと、 "
素直すぎた俺の爆弾発言が今になって恥ずかしくなってきた。
けど、" かいとに惚れないでね " なんてトーク履歴を見返して我ながらよくやった！と褒めてやりたい。
Aわたしも会えて嬉しかった
A推しがいるのでかいとくんには惚れません
ニヤける頬を必死に抑えて冷静を装う。
隣の海人も陽気に鼻歌を奏でていた。
「あー、今日ついてきてよかったー」
「え、なにもう機嫌なおったの？」
「道間違えてくれて感謝だわ」
「あ、そうやって掘り返すとこ良くないよ！」
「うるせえよ、前向け！笑」
その日の帰り道はいつも以上にテンションが高かったと思う。
……え、てか、Aちゃんの推しって誰？？
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作者名：詠夢
| 作成日時：2023年7月2日 20時
