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sho side
運命を信じてみたいと思った。
偶然と必然、重なる奇跡のような君との出逢いが俺の人生を彩ってくれた。
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数ヶ月に1回、恒例の海人の実家に帰る儀式が終わった。
と言っても特に用はない。
海人のパパとママに挨拶してご飯ご馳走になって帰宅。
いつも通り。本当にいつも通りだった。
「おまえさぁ、どこ向かってんの?」
「え?」
「絶対道違くね?」
「え、うそ!まじ?こっちじゃなかったっけ?」
行き先方向と真逆の道を走っていることに気づいた俺がそこのコンビニで折り返そうって提案したの。
あれこれ買いたいからついでに寄っていい?なんて言葉は右から左だったのにさ、運命的な再会を果たすなんてね。
ほんと人生何があるか分かんないよね。
「え、まって」
「ん?」
「いや、違うか」
「え?なに?知り合い?」
目の前には見覚えしかないひと。
「いや、ないない、絶対ない」
「え?なに?」
「……似てるだけ、Aちゃんに、」
「え!どれ?!どれ?!まじ?!」
「いま出てきた」
「え!声かけようよ!」
「は?やだよ、バカか」
「なんで?!こんなとこで会えるなんて奇跡だよ?バカなの?!」
「はぁ?!おい!ちょ、海人!」
本人かも分からないのに俺のレーダーは瞬時に反応した。
と同時に自制心も働く。
落ち着け。や、でも、これは神様からのお告げだろうか。
ここで声をかけなければこの先一生後悔するかもしれない。
海人の積極性を見習うときが来るとは。
ってわけで、躊躇なく声をかけにいった現役アイドル。
海「こんばんは」
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作者名:詠夢 | 作成日時:2023年7月2日 20時