Love again －愛を、もう一度－【T.O】 (ページ21)

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MC後、また数曲披露して先輩たちのステージは終了。

ステージから捌けていく際、大倉先輩と目が合った気がしたが気のせいだということにしておこう。

それから次のバンドがステージに立ち、ライブをしっかり最後まで鑑賞。

やはり元軽音部なだけあって、たまにはこういうライブハウスでライブを見るのもいいな、楽しいな、とライブが終了してからもワクワクしていた。

そしてやはり、久々にドラムを叩きたくなっていた。

***

ライブ終了、人の流れが多少落ち着いてから会場を出たものの、むしろ会場前ではいわゆる出待ちの女の子たちが沢山いた。

スマホを取り出すと、安田先輩から『時間が大丈夫そうだったら出るまで少し待ってて』のメッセージ。

私は、その出待ちの人混みから少し離れた場所で待機することにした。

数分経って先輩たちや対バンしていたバンドメンバーの方々が出てくる。
出てきたところに早急に女の子たちは駆け寄り、それぞれ差し入れやプレゼントを渡していく。

凄いなあ、こんな人気なんだなあ、と思いながら私はうつむき加減にスマホを見ていた。

『…なあ』

『……なあ、A』

A｢はいっ！？｣

ライブ中に送られてきて溜まっていたメッセージを返すのに必死で聞こえなかった、というか私に話しかけられてるとは思わなかった。

名前を呼ばれてすぐ顔を上げると、目の前には大倉先輩の姿。

A｢え、大倉先輩………？｣

忠義｢A、なんで俺らがライブすること知ってたん？｣

私にそう問いかける大倉先輩は、何故かどこか不機嫌そうで。

A｢この前、あそこの楽器屋のスタジオに入る安田先輩と会ったんですよ。その時にライブやるからもしよかったら～って教えていただいて｣

忠義｢そんでヤスにチケットの取り置き頼んだん？｣

A｢はい、そうですけど………｣

そう私が応えると｢ふーん、｣と言った後になにかボソッと囁いたが、小声すぎて聞き取れなかった。

そしてそのまま、大倉先輩は私に向かって｢来てくれてありがとな｣とだけ言ってもう一度ファンの女の子たちの群れにのまれている丸山さんのところへ行った。

A｢さっき、なんて言ったんだろう…｣

***

忠義｢なんで、俺じゃないねん…………｣